なぜ今、地方で新産業勃興が進むのか。前回見た米テスラやそのCEO(最高経営責任者)であるイーロン・マスク氏の動きとは別に、有力VC(ベンチャー・キャピタリスト)が新たな投資先を求めて地方に移住していることも要因の一つにある。
2020年1月にテキサス州の州都オースティンでアイロンスプリング・ベンチャーズ創設を手掛けたタイ・フィンドレー氏もその一人。米ボーイングの技術者だったが米ゼネラル・エレクトリック(GE)のVCに転職して投資の世界に入り、独立してシカゴでエンジェル投資を手掛けていたときに現在の仲間と出会った。

シリコンバレーではなくオースティンを選んだのは、ベンチャー投資のトレンドの変化を察知したからだ。
「新産業の中心が、これまでのITやインターネットから既存産業のデジタル化へとシフトしていく。近郊のダラスやサンアントニオ、ヒューストンには既存産業の生産拠点や本社が集積している。それらの中央に位置するオースティンにはテック企業も多く、条件が最高だ」(フィンドレー氏)。米ピッチブック・データの調べでは、オースティンのベンチャー投資額は21年1~3月期の約9億ドルから同4~6月期は15億ドルに倍増した。
とはいえシリコンバレーは別格だ。21年1~3月期の投資額は250億ドルを超え、オースティンの約28倍。まだまだ歴然とした格差がある中で地方都市を「ネクスト・シリコンバレー」などと呼べるのか。
その答えをフィンドレー氏の投資先で見つけた。サンアントニオに拠点を置くプラス・ワン・ロボティクス。物流倉庫向けに画像認識技術を用いてロボットが梱包箱などをピックアップできるシステムを提供している。すでに米フェデックスが顧客となっている。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り1555文字 / 全文2294文字
-
「おすすめ」月額プランは初月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
日経ビジネス電子版有料会員なら
人気コラム、特集…すべての記事が読み放題
ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題
バックナンバー11年分が読み放題
この記事はシリーズ「ネクスト・シリコンバレー」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?