これまでテキサスやアリゾナなど、「ネクスト・シリコンバレー」と期待されるエリアの活況ぶりを見てきた。では、シリコンバレーがこのまま衰退してしまうかというと、そうではない。シリコンバレーでアメリカンドリームを実現する。フィンランドのオーラヘルスはそれを実現したスタートアップだ。指輪型のヘルスケアデバイスを提供する同社はシリコンバレーに活動拠点を移してから、100億円以上もの資金調達に成功。サンフランシスコ市内のオフィスで世界市場への戦略を加速させている。

 コロナ禍で多くの企業がオフィスを閉鎖し、エンジニアが街を去ったシリコンバレー北部のサンフランシスコ市内。2021年8月、市内にあるスタートアップの幹部を中心に30人がオフィスに集まった。新型コロナウイルスの感染拡大以降に入社したスタッフも多く、実際に会うのは初めてという人も少なくなかった。

 このスタートアップは今シリコンバレーで注目されているフィンランド発のスタートアップのオーラヘルスである。13年にフィンランドでノキアのエンジニアらが起業した後に欧州を中心に事業を展開してきたが、18年に米国に本拠を移転。19年にシリコンバレーのオフィスを構え業務を本格化しようとした矢先、新型コロナの感染が拡大した。

オーラリング。指輪型のデバイスで体温や脈拍、動きを正確に把握できるという
オーラリング。指輪型のデバイスで体温や脈拍、動きを正確に把握できるという

 オーラヘルスが提供しているのは「オーラリング」と呼ぶスマートリングとアプリ。指輪型が特徴で、体温、加速度、赤外線などのセンサーを搭載している。センサーが常に指に密着しているため、体温や脈拍を正確に測定できるという。

 最大の売りが睡眠状況の把握である。就寝時の動きや脈拍を測ることで、実際に何時に寝て起きたのか、深い眠りか浅い眠りかなどを把握できる。1回の充電で5日程度は着けたままでよく、睡眠状況を漏らすことなく記録できるのだ。

オーラリングのアプリ。睡眠状況を把握・分析し、改善案を提示する
オーラリングのアプリ。睡眠状況を把握・分析し、改善案を提示する

 コロナ禍を機にスポーツ業界を中心に、全メンバーの体調を正確に管理したいというニーズが高まった。オーラリングはその実現手段として採用例が増えている。巨額調達に成功したのもそうした実績もあるからだ。

 例えば全米バスケットボール協会(NBA)では、コロナ禍からの復活に向け、加盟チームの選手やスタッフに配っている。オーラはNBAに2000以上のデバイスを納入した。詳細は非公表だが、コート上や就寝時も含めたリアルタイムの健康管理に活用している。メジャーリーグやF1のレーシングチーム、東京オリンピックに参加した、サーフィンの米国チームなども採用している。

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