東南・南アジアのスタートアップ企業の間でIPO(新規株式公開)が活発化している。インドでは7月23日にフードデリバリーなどを手掛ける2008年創業のゾマトが、同国の有力スタートアップとして初めて国内の証券取引所に上場。同月には電子決済を手掛けるペイティーエムも上場申請した。

 東南アジアでは8月6日にインドネシアを拠点にネット通販を手掛けるブカラパックが国内証券取引所に上場した。またシンガポールを拠点に配車やフードデリバリーを展開するグラブや、不動産サービスを手掛けるプロパティグル・グループは特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じて米国市場に上場すると発表している。

デリバリーサービスを手掛けるゾマトのドライバー。同社はインドで初めて上場した有力スタートアップとして注目を集めた(写真:ロイター/アフロ)
デリバリーサービスを手掛けるゾマトのドライバー。同社はインドで初めて上場した有力スタートアップとして注目を集めた(写真:ロイター/アフロ)

 加えて、インドではネット通販を展開するフリップカートや物流サービスのデリバリー(Delhivery)、格安ホテルチェーンのオヨホテルズアンドホームズも上場を検討しており、東南アジアでは配車大手ゴジェックとネット通販大手トコペディアが経営統合して誕生したゴートゥー・グループが米国とインドネシアで上場するとみられている。

 スタートアップにとって上場は一つのゴールともいえる。ではなぜ東南・南アジアの有力スタートアップが次々とゴールテープを切ろうと動き出したのか。「東南アジアも南アジアもスタートアップが成長するには難しい地域だといわれてきたが、最近になって(それぞれの地域の)市場の大きさが顕在化し、各社の成長ストーリーも広く受け入れられるようになったからだろう」。アジアのスタートアップに対する投資や支援を長く続けてきたミスルトウ・シンガポールの大蘿(たいら)淳司・マネージング・ディレクターはこう見ている。

新型コロナ、IPOラッシュの引き金に

 大蘿氏がインドに入り込み、スタートアップへの投資や育成に携わり始めたのは10年ほど前のこと。ちょうど同じ頃、冒頭で挙げたIPOに取り組む企業はそろって創業期を迎えていた。ただインドも東南アジアもインフラは未整備で消費者の購買力も一部を除き小さい。スマートフォンは普及しておらず、決済手段も未発達、他の地域では成り立つようなモバイルゲームのようなビジネスでも成長させることは容易ではなかったという。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り3223文字 / 全文4150文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「ネクスト・シリコンバレー」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。