女性取締役の貢献、まだスタートライン前

 日本でも部長などの「女性管理職の比率」は既に業績や株価の差として表れていることが分かった。では、「女性取締役の比率」という観点で分析するとどうなるか。

 今回、日経xwoman編集部では、5年前と現時点での女性取締役比率やその変化と、直近の株価や業績との関係を比較した。女性取締役が多いほど株価や業績にポジティブであるという相関は見られなかった。

 とはいえ、「女性取締役を増やしてもメリットはない」という判断は拙速だろう。21年6月末時点でも、日本企業の女性取締役比率は欧米の水準と比べて低く、5年前時点ではなおさらだ。「そもそも、業績や株価に差がつくほどのスタートラインに立てていなかった」という見立てが実態と思われる。

いずれは女性取締役比率でも投資家の選別を受ける時代に?(写真=PIXTA)
いずれは女性取締役比率でも投資家の選別を受ける時代に?(写真=PIXTA)

 日本の問題は、女性取締役比率の低さだけでなく、「生え抜きの女性取締役の極端な少なさ」にあるのは、本連載第1回「女性取締役比率、ローソン1位、資生堂2位も、日本の劣等生ぶり鮮明」で言及した通り。生え抜きの女性取締役は一朝一夕に増えるものではなく、管理職レベルの女性を増やし、女性が当たり前に上を目指せる職場をつくるところから積み上げるしかない。女性管理職比率の高さは既に業績に影響しているが、目指すべき状況はその延長線上にある。

 MSCI日本株女性活躍指数では、「新規採用者に占める女性比率」「従業員に占める女性比率」「男性と女性の平均雇用年数の違い」「管理職における女性比率」と並んで、「取締役会における女性比率」が主要な銘柄選定基準となっている。現時点ではまだ日本企業全般の水準が低過ぎて差がつかないが、やがては女性取締役の比率も投資家の選別基準として無視できなくなるはずだ。

■修正履歴
女性取締役比率ランキングで、ローソンは13位ではなく、正しくは1位でした。本文の該当箇所を修正しました。お詫びして訂正いたします。[2021/8/26 12:40]
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この記事はシリーズ「上場企業300社、女性取締役の実相は? 日経xwoman独自調査ランキング発表」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。