2021年も6月の株主総会が終わり、上場企業各社の新役員体制が出そろった。今年度のキーワードは女性登用といえる。

 金融庁と東京証券取引所が6月11日、上場企業の経営に関するルールをまとめたコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)の改訂版を施行し、“多様性確保”をその柱に据えたからだ。

 新ルールにいち早く対応し、女性取締役を誕生させた企業はどこか。そこで日経xwoman編集部では、東証1部上場企業2191社の時価総額ランキング上位300社を対象に、女性取締役の人数や個人名を調査した。女性取締役比率、5年前(2016年)との比較、株価や業績との関連などを分析しランキング形式で発表する。

 今回は「女性取締役ゼロ企業」を公開する。ESG投資や就職・転職先の見極めに活用してほしい。

 「企業価値の向上にとって、SDGs(持続可能な開発目標)の17のゴール(特にジェンダー平等)は関連性があり、経済成長にはダイバーシティー&インクルージョンが必要だ」。2019年3月、金融庁の初代CSFO(チーフ・サステナブルファイナンス・オフィサー)に就任した池田賢志氏は言い切る。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言の国内実施を含め、サステナブルファイナンスを巡る課題について国内外での取り組みを所掌している池田氏は今、「金融庁のパーパス(存在意義)」として取り組むべき課題に、ダイバーシティー経営の遅延解消を挙げる

 この問題意識は、21年6月に施行されたコーポレートガバナンス・コード改訂の資料に明確に表現されている。下記の表を見ると、多様性確保・女性登用について企業に求める行動が一層強まっていることが分かるだろう。赤字部分でポイントを示した。

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 多様性の確保について「推進すべきである」という文言から、考え方・測定可能な目標・状況・人材育成方針・社内環境整備方針・実施状況を「開示すべきである」と、かなり踏み込んだ要求に変化した。つまり上場企業は今後、これらの項目を株主総会や統合報告書などで株主に向けて分かりやすく“見える化”させねばならない。来春の東証市場再編を前に、プライム市場銘柄(現1部)は22年4月以降の株主総会で開示すべきだとされている。スタンダード市場(現2部、ジャスダック)とグロース市場(現マザーズ)銘柄に至っては21年末までと期限が短い。のんびりしている時間はない。

 そこで日経xwoman編集部では、東証1部上場企業2191社の時価総額ランキング上位300社を対象に、女性取締役が1 人もいない企業を調べてみた

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