インド市場専用に緊急開発したウイスキー「オークスミス」が好調なビームサントリーインディア。ビームが開拓した高価な輸入ウイスキー市場に加え、ボリュームゾーンとなるIMFL(Indian-made foreign liquor、輸入ウイスキーをインド国内でブレンドした製品)市場でも、地場でのトップ3ブランド入りを目指す。カギとなるのはハイボールの普及。ビームサントリーインディアのトップ、ニーラジ・クマール氏は「インドにはそれを実現できる土壌がある」と自信を見せる。

ニーラジ・クマール(Neeraj Kumar)ビームサントリーインディア・マネージングディレクター
ニーラジ・クマール(Neeraj Kumar)ビームサントリーインディア・マネージングディレクター
インド南部のハイデラバード出身。オスマニア大学卒業。米飲料メーカーやスウェーデン・家電メーカーなどを経て2008年にビーム入社(現・ビームサントリー)。グローバルインドマーケティングディレクター、マーケティングディレクターアジアを経て、19年から現職。

オークスミスの現在の販売状況について教えてください。

ニーラジ・クマール氏(以下、クマール氏):2019年に発売したオークスミスブランドは、既にビームサントリーインディアの売上高の25%を占めています。この割合を30年に50%にまで引き上げることが当面の目標です。30年の売上高の目標は10億ドルですから、5億ドル以上をオークスミスで稼ぎ出すことになります。もうすぐ発売から3年になりますが、22年末までの累計販売本数は200万ケースになる見込みです。

 現時点でも既に競合他社に対抗できるブランドに成長しています。今後はボトリングのキャパシティーを増やすことが重要になってくるでしょう。

 インドは「やってみなはれ」を体現する新たなフロンティアです。今、私が持っているだるまには8年後の目標「売上高10億ドル」が書かれています。だるまは片目しか描かれていませんが、目標を達成した暁にはここに目を入れるつもりです。

オークスミス投入でミドル層にも訴求

インドの一般的な酒販店。ブランドごとに棚が分かれており、日本の百貨店の化粧品売り場のような陳列となっている
インドの一般的な酒販店。ブランドごとに棚が分かれており、日本の百貨店の化粧品売り場のような陳列となっている

そもそも、なぜオークスミスの開発が必要とされたのでしょうか。

クマール氏:オークスミスの投入によって、より大きな市場に参入できるようになったと思います。インドにおいてビームサントリーはもともとスコッチウイスキーのトップ3の一角でした。「ティーチャーズ」の他にも「ラフロイグ」「ボウモア」といったシングルモルトに加えて、バーボンウイスキーの「ジムビーム」も持っていました。19年にはハウス・オブ・サントリーとして「山崎」「響」「季(TOKI)」といったジャパニーズウイスキーも発売しています。

 以前の商品構成でもアッパーミドルとリッチ層には訴求できていましたが、オークスミスの発売によって、インドの都市部に住むミドル層へのアプローチもできるようになりました。インドにはミドル層、アッパーミドル層の住む100万人規模の都市が40以上存在します。オークスミスの投入はそうしたミドル層への訴求なのです。輸入ウイスキーのようなプレミアムカテゴリーの場合、ブランドの構築はバーやホテルといった業務用が主ですが、オークスミスの場合は家庭用の需要にも大きな可能性があります。

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