サントリーホールディングスはインドを日本、米国に続く重要市場と位置付け、2030年に10億ドルの売り上げを目指す。新浪剛史社長の肝煎りで始まったインド・ウイスキー開発の先に、同社はアフリカなどのフロンティアを夢見る。いずれインドにも生産拠点を設け、「ハイボールブームを現地で巻き起こす」と新浪社長の鼻息は荒い。

新浪剛史(にいなみ・たけし)サントリーホールディングス社長
新浪剛史(にいなみ・たけし)サントリーホールディングス社長
1959年神奈川県生まれ。81年三菱商事入社。91年米ハーバード大学経営大学院でMBA(経営学修士)を取得。2002年ローソン社長CEO(最高経営責任者)。14年5月にローソン会長に退き、10月に創業家出身者以外で初となるサントリーHDの社長に就任。(写真:的野 弘路)

インドでの「オークスミス」開発は新浪社長の厳命だったと聞きました。

 インドはIT人材が世界中で活躍していますから、サントリー製品も高所得層に浸透しつつあった。でも、ローカルな市場に入り込むにはインド・ウイスキーが必要だと考えた。そこでIMFL(Indian-made foreign liquor、輸入ウイスキーをインド国内でブレンドした製品)の開発・製造にチャレンジしようという結論に至ったのです。

 IMFLの開発はサントリーが主導しました。ビームはマーケティングに強みがありますが、オークスミスのように商品づくりから始める場合は、サントリー側で主導する必要があった。ビームがあまりインド・ウイスキーの開発に当初は乗り気ではなさそうだったこともあって、私が前のめりになりました(笑)。ビームを買収したころからインド市場に注目していましたが、ビームとの融合が優先事項でしたからね。それが一段落した2017年ごろから具体的な構想が進みだしました。

インド市場への参入は以前から思い描いていたのですね。

 ビームを買収した後にサントリーの現状を鑑みました。日本、米国、欧州では強みを持つ一方、人口の多い中国やインドは存在感が弱かった。ビームの「ティーチャーズ」があったので、インドでもある程度の販売網は構築できていました。ただ、それに頼っていてはサントリーの成長は望めません。競合の仏ペルノ・リカールや英ディアジオに比べればサントリーはインド市場では弱い存在です。そこで「インド市場での成長ドライバーをつくらねば」と考えたのです。

 サントリーのウイスキーは富裕層には既に好評ですが、インドの地方都市のお店にまでビームサントリーの商品がいきわたるほどの流通網も整ってはいませんでした。すそ野の広い商品を出す必要があったわけですね。だからこそ、IMFLをつくろうと考えたのです。

1年で開発から発売まで行うように指示するとは厳しいですね(笑)。

 チーフブレンダーの福與伸二が良い意味でインドにハマってくれましたね。オークスミスは私も個人的にハイボールで飲んでいますが、おいしいですよ。福與の2塁打ですね。ホームランではないですよ(笑)。彼にはもっと頑張ってもらわないと。

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