パナソニックがIoT家電を売っていく上で、利用状況を読み取りながら消耗品を配送する新サービスを始めた。最近話題の「顧客生涯価値(LTV)」を意識した新ビジネスだが、実は創業者・松下幸之助氏の「売った後の奉仕が永久の客を作る」という教えを、最新のデジタル技術の時代によみがえらせたものでもある。経営者であると共に優秀なマーケターでもあった創業者から学ぶところは大きい。

 「社内でマーケティング施策について議論をしていると、『これって創業者の言葉にあったよね』という話によくなる」

 パナソニックで国内家電のプロモーションを担当するコンシューマーマーケティング ジャパン本部の高須泰行・ブランド戦略課長はこう話す。創業者とは、言わずと知れた松下幸之助氏のことだ。

パナソニックで国内家電のマーケティングを担当する高須泰行・ブランド戦略課長(写真:高山透)
パナソニックで国内家電のマーケティングを担当する高須泰行・ブランド戦略課長(写真:高山透)

 「経営の神様」として知られるが、優れたマーケターでもあった。「買って安心、使って徳用、ナショナルランプ」。1927年、初めて出した新聞広告の宣伝文句は、幸之助氏が三日三晩悩んで書き上げた。「創業者は、先に書くのは安心かそれとも徳用か悩んだという。結果的に安心を選んだが、これは品質を大切にする考え方として現在まで受け継がれている」と高須氏は話す。

 「伝わらなければ存在しないのと同じ」という言葉を残した幸之助氏は、初代の宣伝部長を兼務していた時期もあるほど、マーケティングを重視していた。

創業者の松下幸之助氏は、自ら広告宣伝も担当していた(写真:Fujifotos/アフロ)
創業者の松下幸之助氏は、自ら広告宣伝も担当していた(写真:Fujifotos/アフロ)

 60年代には「儲ける この大事なことをもう一度真剣に考えてみましょう」「松下電器はカメさんです」といった企業広告を展開。前者は利益を通じて日本の繁栄に貢献していることをアピールし、後者は実力をわきまえて着実に歩んでいるという企業姿勢をアピールしたものだ。

 高須氏は「最近、ブランドの存在意義を重視する『ブランドパーパス』という考え方が出てきているが、創業者が実践していた」と驚く。

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60年代の企業広告。商品の特徴ではなく松下電器(当時)の企業姿勢を伝えていた
60年代の企業広告。商品の特徴ではなく松下電器(当時)の企業姿勢を伝えていた
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 幸之助氏の先駆性は広告宣伝だけに限らない。同氏の残した言葉にこんなものがある。

 「売る前のお世辞より売った後の奉仕、これこそ永久の客を作る」

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