まずウェザーニューズは国内に1万3000カ所と最大規模の観測網を持ち、ここから集めたビッグデータがある。気象庁、世界の気象機関から提供されるデータも融合し、予報の精度を高めている。

 もう一つ、同社の求めに応じて情報を送ってくれる各地の「サポーター」のデータがある。有料、無料の利用者から1日約20万通のリポートが送られる。水道管凍結予報の場合では、実際に凍結したタイミングをその都度教えてもらい、同社がそのときの気象データとの相関関係を分析した。

同社の求めに応じて情報を送ってくれる各地の「サポーター」のリポートは1日約20万通
同社の求めに応じて情報を送ってくれる各地の「サポーター」のリポートは1日約20万通

 悪意を持ってでたらめなデータを提供する人がいることも考えられるが、個人向けサービスなどを企画する磯谷英志氏によると「膨大な人数に協力してもらっているため、明らかにおかしいデータははじくことができる」。逆に言えば、悪意を反映されないようにするためにはそれだけ大量のデータを持ち合わせている必要がある。

 さらに、専門家ら外部のデータや知見も生かす。天気痛予報では、サポーターがいつ天気痛を発症したかといった報告と自社の気圧データを掛け合わせるが、これに加え気圧医学に詳しい医師がその分析に関わっている。

 1986年に設立されたウェザーニューズは国内の民間気象会社の草分け的な存在だ。競合が台頭する中でも2020年のアプリのダウンロード数は天気アプリでトップで、累計2900万件を超えている。

議論は毎日、開発素早く

 ただ、様々なデータを活用するだけではこれだけ多くのコンテンツを出すことはできない。

 ウェザーニューズでは冒頭に見たように、サービス開発に向けた検討が毎日行われている。専門の部署ではなく、気象予報を専門とする予報チーム、利用者からの意見に対応するサポートデスクのメンバー、営業担当者らの混成部隊だ。17年ごろから週ごとの会議に加えて、SNS「スラック」を使って、利用者の声などを基に新規コンテンツを常時議論するやり方に改めた。

 議論に参加する気象予報士の丹羽祐久氏は「季節や気象状況によって利用者のニーズは移り変わるのも早く、いかに素早くリリースするかが大事。改善点があればすぐに修正していく」と話す。予報士までもニーズの在りかに血眼になっている。

 個人向けアプリ開発のエンジニアは現在30人いる。コンテンツ強化に向けて新規採用のほか他部署の社員を社内で教育し、エンジニアに育てるなど、データ分析の地力を高める努力も続けている。

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