新型コロナウイルス禍の影響が続く外食業界において、大手が力を注ぐのがテークアウト、デリバリー、そして冷凍食品やミールキットなどをはじめとする通販事業だ。そんな中、串カツ田中ホールディングスが挑戦したのが家庭用の卓上フライヤーと串カツのセット販売。家電と冷凍の串カツをセットで売る珍しい取り組みだが、ECサイトでの初回販売は即座に完売。串カツ田中の「非常識マーケティング」はなぜ成功を収めたのだろうか。

 串カツ田中は7月1日、卓上フライヤーと串カツの10~50本セットを9980~1万2980円で発売した。この時は100台が用意されたが、串カツ田中ホールディングス(HD)によると、わずか5分足らずで完売したという。7月末には新たに500台のフライヤーを仕入れて再発売したが、これも2週間足らずで在庫がなくなった。

 このフライヤー、「串カツ田中オリジナル」とアピールされ、側面には「名物串カツ田中大阪伝統の味 ソース二度づけ禁止!」のシールと串カツ田中のECサイトにアクセスするためのQRコード、そして上蓋にロゴマークのシールが貼付されている。

串カツ田中が卓上フライヤーと冷凍串カツをセット販売したところ、あっという間に売り切れた
串カツ田中が卓上フライヤーと冷凍串カツをセット販売したところ、あっという間に売り切れた

 ところが実はこのフライヤー、既製品の見た目にアレンジを加えただけの商品だ。串カツ田中のステッカーが張られていない通常の商品であれば、同社のECサイトで品切れだった7月中旬頃でも、他のECサイトで在庫を見つけることは難しくなかった。

 フライヤーは「ジェネリック家電」で知られる山善と調理家電などを手掛ける象印マホービンから調達した。象印の製品は2001年からモデルチェンジされていないロングセラー商品だ。象印マホービンによれば、コロナ禍の巣ごもり消費の影響によって20年度の電気フライヤーの出荷数は前年度比約4割増というものの、串カツ田中とのコラボレーションという形で、既製品がこれほどの人気を集めたことは異例だろう。

 「一定の認知度のある飲食ブランドとして、食材と家電を組み合わせることにより『使い方の提案』ができたことが注目を集められた要因かもしれない」。串カツ田中ホールディングスの坂本壽男・取締役経営戦略部長は、フライヤーの思いがけないヒットの理由をこう分析する。

 そもそもなぜ、串カツ田中は家電と冷凍食品をセットで販売することを思いついたのか。それは坂本部長のある経験がきっかけだった。

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