緊急事態宣言による外出自粛など大きな逆風が吹く飲食業界。その渦中でこの春、渋谷・原宿エリアのブランド街「キャットストリート」にあえて出店したのが「伊良(いよし)コーラ」だ。「こんな時期にうまくいくはずがない」――。反対に遭いながらも出店した同社の戦略とは。

その場でクラフトコーラを作る
その場でクラフトコーラを作る

 4月下旬。新型コロナウイルス禍のあおりで人もまばらな若者向けのブランド街、キャットストリートに伊良コーラ渋谷店(東京・渋谷)が突如出現した。レモン、ライムなどのかんきつ類やシナモン、ナツメグなど12種類以上のスパイスを調合した「クラフトコーラ」を提供する。

 トレードマークのカワセミのカラフルなネオンに、スパイスを並べたバーのようなカウンター。鳥のさえずりや水の音が複雑に組み合わされている不思議な音響の効果もあって、五感で楽しめる店だ。人通りが少ないキャットストリートだが、白を基調とした店舗の未来感漂うたたずまいに、途切れず人が吸い込まれていく。

開業した渋谷店に来客は興味津々だ
開業した渋谷店に来客は興味津々だ

 店内ではテークアウトできるクラフトコーラのほか、瓶詰のシロップなどを販売する。店のポップな印象からもちろん「(SNSの)TikTokで動画をアップしている人を見て、店内がかわいいから来た」(20代アパレル業女性)と感度の高い若者客らを引き付けた。

 だが、ブランド街という立地ながら意外にも多いのが30~50歳の男性陣だ。飲食関連に勤める50歳代の会社員の男性は「子供の頃、憧れだったコーラ。何からできているんだろうと不思議だったのを、因数分解して見せてくれているようだ」と嬉しそうに話す。

伊良コーラ渋谷店の店内の様子(C)Kenya Chiba
伊良コーラ渋谷店の店内の様子(C)Kenya Chiba

 来店客には「今日の唯一の息抜き」と大阪からの出張で立ち寄った40代の会社員男性や、「雑誌で見た。食べ歩きが趣味で、デパ地下での販売や下落合の総本店など、伊良コーラで新しい動きがあれば全部試している」(30代コンサル業男性)という熱烈なファンもいた。

 伊良コーラは1杯500円のコーラや瓶詰のシロップを提供し、すでに10万人以上に販売するヒットに育てた。では老若男女を引き付ける理由は何だろう。

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