世代を超えて親しまれてきたサントリー食品インターナショナルのコーヒー飲料「BOSS」が、8月で発売30年を迎えた。容器は缶からペットボトルへ、飲料の種類もコーヒーから紅茶、ラテへと広げているが、ブレないのが「働く人の相棒」という商品コンセプトだ。ブランドの本質を守り続けている裏には、タクシー運転手への「夜討ち朝駆け」をはじめとする、地道で泥臭くも徹底したマーケティングがある。

 「突然ですが、僕はウマ娘が大好きだ。初めまして。私はサントリーという会社で、缶コーヒーBOSSの商品開発を担当している者です。……」

 5月下旬、スポーツ新聞の全面広告に突如現れた、1万字以上に及ぶ手書きの文章。BOSSとゲームアプリ「ウマ娘 プリティーダービー」という異色のコラボは、ネット上で「怪文書だ」などと話題を呼んだ。

 1992年に缶コーヒーとして発売して以降、手を替え品を替えて新たな挑戦を続けているBOSS。ペットボトルに入った「クラフトボス」シリーズや、水や牛乳で割る「カフェベース」のほか、飲料の種類も紅茶やラテ、フルーツオレなどに広げてきた。テレビCMでは、クスッと笑えてどこか共感も覚える「宇宙人ジョーンズ」シリーズが印象に残っている人も多いだろう。

 2022年3月末時点で販売されているBOSSブランドの商品数は108。これまで世に送り出した数は、既存商品のリニューアルなども含めると500前後に達する。直近では4年連続で年間の出荷数量が1億ケースを超えた。飲料総研(東京・新宿)によると、同年の飲料市場全体で見ても「サントリー天然水」に次ぐ2位に躍り出た。

2021年の飲料市場では全体の2位に躍り出た
2021年の飲料市場では全体の2位に躍り出た

 絶え間ない商品の見直しが消費者層の拡大につながってきた面は大きい。だが、種類や商品数をむやみに増やしすぎると、ブランドとしてのイメージが揺らいだり、商品を通して伝えたいメッセージが届きにくくなったりしがちだ。

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