顧客は一つのマンションの住民だけ、そんな「極小商圏」ビジネスが普及している。スタートアップ600が提供する集合住宅向け無人販売サービス「Store600」がそれだ。様々な点で従来の商売の概念を覆す。

 「モノを効果的に売るには、商品説明や梱包など店員による“おもてなし”があったほうがいい」と多くの人は思っている。無人販売の代表格である自動販売機では、飲料やタバコのほか、うどんやそば、カレー、だしじょうゆやドレッシングなどバラエティーに富んだ商品が売られているが、いずれも広く社会に周知された説明不要の生活必需品が中心だ。

 また通信販売が発達した今も、少なからぬ人は「モノは商業施設で売るのが当たり前」と考えている。無人販売にしても、多くの事業者は自販機をショッピングセンターなど“人が買い物に来る場所”になるべく置こうとするはずだ。

 そんな商売の常識にことごとく反するビジネスモデルを掲げているのがスタートアップの600(ろっぴゃく、東京・千代田)だ。同社は、化粧品やアクセサリーなど“明らかに対面販売が有利に思える商品”を無人販売するばかりか、その販売機をマンションの中に設置することで注目を集めている。

600が手掛ける「Store600」。キッズスペースではおもちゃなども販売される
600が手掛ける「Store600」。キッズスペースではおもちゃなども販売される

マンション内に百貨店の催事スペース

 2021年4月に始めた無人ストアを標榜する「Store600」というサービスがそれだ。高さ160cm、幅68.5cm、奥行き52.1cmのショーケースに50~100商品が並べられており、利用者はスマートフォンの専用アプリを使ってドアを開けて目当ての商品を取り出し、アプリで決済する。仮に決済されていない商品が持ち出されたとしても購買履歴などから追跡が可能で、万引きの抑止効果も生んでいるという。

 並んでいる商品は場所によって様々。化粧品やアクセサリーのほか、「福岡フェア」などと銘打って地域の特産品や土産物が置かれるケースもある。「百貨店の催事のようになっているケースが多いですね」と久保渓社長は説明する。

 一方で、マンション内のキッズスペースでは絵本やおもちゃが置かれたり、住民がリモートワークで使うコワーキングスペースでは文房具やコピー機の利用カードが置かれたりする場合もあるという。価格帯も数百円から7000円ほどのものまで置かれた実績がある。

続きを読む 2/2 コロナ禍で注目の「極小商圏」

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