眠気覚まし、集中力の向上、疲労感の軽減などの効果が期待できるカフェイン。コーヒーやエナジードリンクを通してカフェインを摂取し、仕事のパフォーマンスを維持している人も少なくない。そんなカフェインの「摂りやすさ」を重視して開発された缶コーヒーが登場する。サントリー食品インターナショナル(サントリーBF)の「ボス カフェイン」だ(3月28日発売)。同社はエナジードリンクとは異なる選択肢として、20代を中心に訴求していく。利用する際に注意したいのは、カフェインの過剰摂取だ。1日当たりの摂取目安を理解した上で、うまく付き合うことが大切だ。
飲料の容器の構成比は、1990年に20%ほどしかなかった「ペットボトル」が2020年には85%を占めるようになり、「缶」は同期間で60%から12%まで大幅に減少(出所:飲料総研)。同様に缶コーヒーもダウントレンドにあり、「このままでは生き残れない」(サントリーBF)という危機感があった。そんな中で、着目したのがカフェイン飲料だ。

昨今、カフェイン飲料はエナジードリンクがけん引するかたちで市場が拡大している。特にエナジードリンクは若者に人気だが、サントリーBFは独自調査で「20代までの消費者における缶コーヒーとエナジードリンクの飲用人数規模はほぼ同じ」ということに気づいた。さらに購入者の声を拾うと、「ここぞというときはエナジードリンクを飲むが、日々のカフェイン摂取は缶コーヒーを使っている」という声が多いことが分かった。若い世代は缶コーヒーを嗜好品ではなく、機能的に“使っている”というのだ。
このニーズを缶コーヒーのチャンスと捉え、カフェイン重視の缶コーヒー「ボス カフェイン」の開発はスタートした。缶コーヒーを“使う”という新しい価値の提案である。
まずは設計思想を従来の「嗜好性重視」から「カフェイン中心」に切り替えた。そして、カフェイン含有量の多い豆を採用し、245g缶1本当たり200mgのカフェインを取れるようにした。これは、一般的なエナジードリンクの1本当たり40~150mgよりも多い。
一般的にカフェイン含有量を増やすと苦みが強くなるが、浅煎りの焙煎(ばいせん)豆をブレンドすることで苦みを低減。さらに程よい甘さに仕上げるために、べたつきや後残りがない乳や、ゆっくりと体内に吸収される特徴を持つ糖「パラチノース」を配合して、2種類の甘いフレーバー「ホワイトカフェ」と「キャラメルカフェ」を作った。この味に到達するまで、試作は100回以上にも及んだという。
「集中力を高めたいタイミングで、エナジードリンクよりなじみのあるコーヒーの味わいを使えるよう、飲み心地にもこだわった設計にしている」(サントリー食品インターナショナルSBFジャパンブランド開発事業部課長の大塚匠氏)。テレビCMも積極展開し、「缶コーヒーの新たな未来を切り開いていきたい」と意気込む。

飲みやすいカフェイン飲料の登場は、手軽にカフェインを摂取したい人にとっては朗報だが、一方でカフェインが含まれる飲料には注意点もある。カフェインの過剰摂取問題だ。
Powered by リゾーム?