ポイントプログラムの改廃や付与ルールの変更の裏側には、企業の戦略が密接に絡み合っている。連載3回目は、新型コロナウイルス禍で戦略の見直しを迫られた企業を取り上げる。ANAは旅行や出張需要が激減したことで、日常生活でもマイルがためられるサービス構築にかじを切り始めた。空港ラウンジサービスが売りだったプラチナカードも魅力が低下。三井住友カードではお得さを前面に押し出した異色のプラチナカードが人気となっている。

■掲載予定 内容は予告なく変更することがあります
(1)ソフトバンク・ヤフー離脱の衝撃 Tポイントは生き残れるか
(2)“ポイント改悪”続きの楽天 始まったキャンペーンと顧客の選別
(3)ANAは陸でマイル圏拡大、三井住友は高ポイント還元カードで勝負(今回)
(4)陸マイラーに人気のカード「SPG AMEX」大幅リニューアルを読み解く

 数あるポイントの中でも、特に人気が高いのが航空会社のマイル。本来、飛行機の搭乗によってたまるものだが、クレジットカード決済や共通ポイントからの交換でひたすらマイルをためる「陸(おか)マイラー」まで存在するほどだ。

 マイルがそこまで人々を引きつける背景には、特典航空券の存在がある。ポイントは基本的に1ポイント=1円相当と決まっているが、マイルは交換する特典航空券の種類によって1マイルの価値が少なくとも2円以上、高ければ10円を超えることもある。正規料金では手を出すのが難しい、国際線ファーストクラスやビジネスクラスでの海外旅行も、特典航空券であれば夢ではなくなる。

 ところがコロナ禍で、海外旅行自体が遠い夢になってしまった。国内旅行も感染状況に左右される。ANAホールディングス傘下でマイル事業を手掛けるANA X(東京・中央)マーケティング戦略部の金子和靖氏は「航空事業だけでなく旅行事業やカード事業など、ANAグループの事業全体を拡大するに当たって、マイルは血液のような位置づけ。コロナ禍でマイルをためる機会も使う機会も減り、このままでは価値を感じてもらえなくなる」と危機感を募らせる。

マイル事業を担当するANA Xマーケティング戦略部の金子和靖氏
マイル事業を担当するANA Xマーケティング戦略部の金子和靖氏

「マイルで生活できる世界」を掲げる

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