「現在の職場を親しい知人や友人にどれくらい薦めたいですか」。従業員にこう質問し、会社への愛着度合いを測る「従業員推奨度(eNPS)」という指標がある。お薦めのブランドを消費者に聞く「NPS(顧客推奨度)」を応用したものだ。調査や分析を手掛けるEmotion Tech(エモーションテック、東京・千代田)の須藤勇人マーケティング部長に指標の考え方や生かし方を聞いた。
eNPS(エンプロイー・ネット・プロモーター・スコア)の調査では「現在の職場を親しい知人や友人にどれくらい薦めたいか」を従業員に問い、0~10の11段階で答えてもらう。10~9点を「推奨者」、8~7点を「中立者」、6点以下を「批判者」として、推奨者の割合から批判者の割合を差し引いて値を求める。
スコアが高いほど会社への愛着が強く、働きがいを感じていることになり、スコアが低いほど愛着や働きがいを感じていないことになる。特に2~0点を付ける従業員は「離職予備軍」とも捉えられ、適切なケアができないと会社を辞めていく可能性が高いとされる。あるブランドについて「友人らに薦めたいか」を11段階の点数で聞いて、ブランドへの愛着の度合いを把握する「NPS」の応用版だ。
企業へのeNPS導入を手掛けるエモーションテックの須藤氏は「離職を防ぎながら生産性の高い組織をつくっていく上でeNPSの考え方は一層重要になる」と話す。

NPSが従業員にも有効だというのはなぜでしょうか。
須藤勇人・エモーションテックマーケティング部長(以下、須藤氏):ある企業が、顧客から愛されたい、ファンになってもらいたいと考えているとしましょう。その際に重要なのは、会社として顧客に向き合う土壌ができているかどうかです。社内の一部だけではなく、従業員全員が高い温度感で顧客に向き合う状態ができている必要があります。
顧客体験の質を高めようとするとき、組織がどういう状態にあるかという点を切り離して考えることはできません。つまり、顧客体験だけではなく「従業員体験」も注視することが欠かせない。実際、顧客体験の向上に真正面から取り組む企業では従業員体験に注目する動きが広がりつつあります。
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