ファンづくりに力を入れている会社の多くは、小売りやサービス業など顧客と直接向き合う業種だ。多くの消費財メーカーの場合、商品を卸して小売店に販売してもらうビジネスモデルで、そもそも顧客との直接的な接点がなく、ファンづくりは容易ではない。それでも「芸能人のファンクラブを手本にファンを増やしていく」と話すのが、「ピップエレキバン」などを製造・販売するフジモトHDの久保田達之助CMO(最高マーケティング責任者)だ。
![<span class="fontBold">久保田 達之助[くぼた・たつのすけ]氏</span><br />1963年生まれ。JTBで事業開発部長、化粧品メーカーのドクターシーラボで取締役マーケティング部長兼海外戦略部長を務め、2018年6月にフジモトHDのCMO(最高マーケティング責任者)に就任。19年11月からは事業会社であるピップの取締役商品開発事業本部長として、メーカー部門の製造・販売部門も統括している。母校の明治大学でマーケティングに関するゼミ、講義も担当している。(写真:的野弘路、以下同)](https://cdn-business.nikkei.com/atcl/gen/19/00337/020100045/p1.jpg?__scale=w:500,h:333&_sh=06905a09a0)
1963年生まれ。JTBで事業開発部長、化粧品メーカーのドクターシーラボで取締役マーケティング部長兼海外戦略部長を務め、2018年6月にフジモトHDのCMO(最高マーケティング責任者)に就任。19年11月からは事業会社であるピップの取締役商品開発事業本部長として、メーカー部門の製造・販売部門も統括している。母校の明治大学でマーケティングに関するゼミ、講義も担当している。(写真:的野弘路、以下同)
日経ビジネスが2021年10月に実施したアンケート調査(参考記事「SNSから『顧客推奨度』まで デジタル全盛 変わる成功の手法」)では、注目しているマーケティング手法として「ファンマーケティング」を挙げ、「芸能人のファンクラブ運営を参考にしている」と回答していました。なぜファンづくりを意識しているのでしょうか。
久保田達之助・フジモトHDCMO(以下、久保田氏):2つの理由があります。1つは人口減少によって市場の大きな伸びが見込めないこと。もう1つは新型コロナウイルス禍で消費者の意識や行動が大きく変わってきていることです。
具体的には、必要なものしか買わなくなってきたと強く感じています。EC(電子商取引)サイトでの購買が増え、店舗の売り場に足を運ぶ機会が減ったことで「ついで買い」が減っているのです。消費者にとって「あったらいい商品」ではなく「必要な商品」にならないといけない。
残念ながら、当社の商品である「ピップエレキバン」も「スリムウォーク」も、使わなければ生きていけないというものではありません。しかし、肩がこる人はたくさんいます。それであれば「肩がこったらピップエレキバンだ」と常に思ってもらう必要がある。他のブランドに浮気されることなく、10年も20年も使い続けてもらうファンをつくることが重要になっています。
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