対面ミーティングが重要

仕事との向き合い方を理解するためにできることはありますか?

牛窪氏:対面ミーティングが重要です。日本企業の多くは終身雇用が前提なので、実施していても頻度が少なかったり、個人の働く目標の話ではなく、「最近どうか」「現在のポジションはどうか」などと、主に転勤や転属の話をして終わったりするケースがあります。

 仕事とプライベートは切り離せません。コンプライアンスがあるのでプライベートの話がしにくいのは分かります。ただ、もし親の介護や子どもが不登校などの事情があれば、バリバリ働くことは困難でしょうから、上司はそれらに配慮したマネジメントが求められます。昔は、このような問題は男性には関係ないと思われていましたが、今は誰にでも起こりうることです。

 ミーティングは1対1で行い、半年か四半期に1回は意識的に実施することが望ましいです。忙しいとつい先延ばしにしてしまうため、事前にミーティングをスケジュールに組み込むようにしましょう。

「Z世代」と「α世代」

最後に聞きたいのが、Z世代の次の「α世代」です。この世代の特徴は何ですか?

牛窪氏:α世代は、米国の定義では2010年以降生まれなので、21年時点で11歳以下の人たちを指します。(ネットでの検索効率が上がる)ハッシュタグが積極的に使われるようになったのが18年ごろなのですが、「ハッシュタグ検索」は、すでに彼らのコミュニティーづくりを変えているともいわれ始めています。

 ここで問題視されているのが人工知能(AI)の影響です。AIによってフィルタリングが精巧になり、広告や検索時にその人の興味に合った情報が優先的に表示されるようになりました。便利ではありますが、「フィルターバブル」といわれるような、自分に都合のいい、興味のある情報しか目にしなくなる恐れがあります。

 自分に最適な情報収集はできても、関心外の情報が入ってきにくくなるため、視野やコミュニティーが狭くなりやすいと考えられます。

 Z世代も「タイムパフォーマンス(時間対効果)」を意識する人が多く、効率よく情報収集する能力は、上の世代よりもたけていますが、α世代はさらにその傾向が強いです。

 α世代はまだあまり取材できていませんが、実際にその傾向は私自身感じています。能動的に情報を取りにいく意識の高い人たちは、中学生の頃から翻訳ソフトを使って海外の情報を得るなどしていますが、そうでない人たちはフィルターされた情報に限られてしまっているように感じます。

 課題は、マーケティング用語でいう「セレンディピティ(偶然の出合い)」をどのようにつくり出していくかで、AIの分野でも少しずつその研究が始まりました。偶然の出会いなしには固定概念に縛られてしまい、イノベーションが起こりにくいことも懸念材料です。

東京五輪のサッカーの試合を観戦する小学生ら。牛窪氏はα世代が固定概念に縛られないように、偶然の出合いを生み出す仕組みが重要と説く(写真:共同通信)
東京五輪のサッカーの試合を観戦する小学生ら。牛窪氏はα世代が固定概念に縛られないように、偶然の出合いを生み出す仕組みが重要と説く(写真:共同通信)

Z世代とα世代の違いはどういうところにあるでしょうか?

牛窪氏:Z世代は多様性の理解が強いと思います。LGBT(性的少数者)やSDGs(持続可能な開発目標)など、差別や格差の是正を強く意識した教育を受けてきたからでしょう。一方でα世代は、フィルタリングされた情報収集にに捉われやすいようなので、視野の広さは今後、1つの大きな違いになるかもしれません。

 もう1つは、コロナ禍でリモート授業などが広がり、デジタル化がかなり進みました。3D空間でのバーチャル出社なども導入され始めましたが、α世代の一部は、リアルとバーチャルの使い分けに苦労する世代になる可能性もあります。

Z世代も新しい世代という扱いを受けますが、αとZでも考え方がずいぶん異なりそうですね。

牛窪氏:そうですね、ずいぶん違ってくると思いますよ。そのためにもぜひ、自分を大切にしてください。心に余裕がなければ、相互理解は難しいですから。

心がけたいと思います。本日はどうもありがとうございました。

牛窪氏:こちらこそ、ありがとうございました。

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