「生きてきた時代」を考える
世代間ギャップを埋めるためにできることは何でしょうか?
牛窪氏:親は子ども、上司は部下が何を考えているかを自分事として捉えて考えてほしいです。若い世代は、親や上司がどういう世代で、どういう時代を生きてきたかを考えてみてください。
研修でよくやるのはロールプレイングです。各世代のコミュニケーションの取り方などを疑似プレーして、感じ方や誤解が生まれやすいのはどこかを体験します。自分事にしなければ、なかなか理解は深まりませんからね。
ただ、自分とは異なる価値観を理解しようとするのはストレスがかかります。そこで大切なのが、心に余裕を持つことです。きれい事に聞こえるでしょうが、まずは自分を大切にし、別の価値観をおもしろいと感じられる余裕を持つことが重要なのです。
なので、一人の時間を大切にしてください。週1回とか月2回でもいいので、スマホやSNS、メールを確認しない時間をつくってください。その時間は好きな音楽を聴いたり、好きなお茶を飲んだり、好きな場所を散歩するなどして、意識的に一人の時間を持ち、自分と向き合ってみましょう。心にゆとりを持つと、他人に興味を持てるようになります。

働くことの意味に違い
企業の中でギャップに向き合うコツはありますか?
牛窪氏:世代によって働くことの意味が異なることを理解する必要があります。今、バブル世代や団塊ジュニア世代などが語るのは「ワークライフバランス」ですが、20~30代は「ライフワークバランス」です。自分の人生や生活が最優先で、その中で仕事がどのような位置を占めるかを考えています。
新型コロナウイルス禍中にZ世代の話を聞いていると、難関大学の出身者でも就活に苦労した人がたくさんいました。やっと就職先が決まっても「すでに転職サイトを調べている」と言うので、私は驚きました。
しかし、聞いているとすぐに転職したいわけではなく、「今後転職しないわけがないから、転職の求人は何歳までが多いのか、どのようなスキルが必要とされているのか、などを見ている」と言うのです。中長期的に働くことを見据えて考えているんですね。
注意しておきたいのは、だからといって彼・彼女たちが仕事をいいかげんに考えているわけではないということです。若い人は社会の役に立ちたい、役に立っている実感を得たいという意識を強く持っています。
上の世代に必要なのは、「転職は当たり前の時代」という認識です。ただ、一度退社して、もう一度同じ会社に戻ってくる「出戻り」が増えています。そのため、SNSなどを利用して個人的なつながりを持ち、退職後もつながりを持ち続けることが非常に大切だと思います。
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