米西部ラスベガスで3日(日本時間4日)、メディア向けに公開された世界最大のテクノロジー見本市「CES」。まず注目を集めたのは独メルセデス・ベンツが初公開した次世代の電気自動車(EV)だった。満充電時の航続距離が1000キロメートルに達するといい、2024~25年には市販車にこの技術が採用される予定だ。デジタル技術を駆使し、18カ月で白紙から仕上げたという開発手法も注目を集める。EV最大手の米テスラを脅かす存在になれるか。

 「『ビジョンEQXX』は、より優れた、美しい、未来的なEVを創造することを目指します」。メルセデス・ベンツを展開する独ダイムラー(2月にメルセデス・ベンツグループへの社名変更を予定)を率いるオラ・ケレニウス会長はオンライン発表会でこう述べた。

オンライン発表会で次世代EVのコンセプト車「ビジョンEQXX」を紹介するダイムラーのケレニウス会長
オンライン発表会で次世代EVのコンセプト車「ビジョンEQXX」を紹介するダイムラーのケレニウス会長

 ビジョンEQXXは流麗な外観が目を引くが、注目を集めたのは、その中身だ。100キロメートル当たりの電力消費は10キロワット時を下回る。電池はコンパクトカーにも搭載できるサイズで、容量は約100キロワット時だという。

 2021年4月に公開したEVセダン「EQS」のものと同等の充電容量を確保しながら、電池の体積は半分に抑え、重量は30%軽くした。多くの消費者がEVの航続距離に対して抱く不安を払拭する狙いは明らかだ。30年にもすべての新車をEVとする方針を公表済みのメルセデスにとって、ガソリン車からの買い替えを促す戦略技術となる。

 メルセデスのマーカス・シェーファー最高技術責任者(CTO)は「今回発表した技術は24~25年に投入する新しいEVの車台に搭載する。販売価格はメルセデスのコンパクト車や中型車の価格帯に収める予定だ」と語った。バッテリーそのものの改善だけでなく、動力をタイヤに伝達するドライブトレーンの効率化や車体の軽量化にも取り組んだ。

満充電時の航続距離が1000キロに達するというビジョンEQXX
満充電時の航続距離が1000キロに達するというビジョンEQXX

 航続距離を延ばすため、屋根には117の太陽電池を設置した。これにより航続距離を最大25キロ伸ばせるという。さらに、外観デザインも空気抵抗を極力抑えるように工夫し、空気抵抗係数を0.17にとどめた。この数字はアメリカンフットボールで使われる楕円形のボールよりも小さいという。

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