前回の記事「『再エネだけでない第3の道を』日の丸企業が導くアジアの進路」では、世界で初めて火力発電の燃料を転換するJERAの脱炭素戦略を紹介した。課題となるのが、燃焼時に二酸化炭素(CO2)を出さない新燃料のアンモニア、水素の確保だ。JERAは、日本が持つ液化天然ガス(LNG)のサプライチェーンのノウハウがアンモニアに生かせるとみる。かつて世界のLNG消費拡大を主導した日本が「第2のLNG」を目指すアンモニアの戦略とは。

 トヨタ自動車のお膝元、愛知県の約半分の発電電力量を賄う国内最大の石炭火力、碧南火力発電所(愛知県碧南市)。ここの4号機では、2024年度に燃料の2割をアンモニアに転換する実証実験が計画されている。21年10月、その日に向けた準備が始まった。

 高さ80m、横、奥行き各32mの直方体のボイラーの下部に48本のバーナーが水平方向に刺さっている。このうち2本を、アンモニア用のバーナーに改造する。石炭用のバーナーとは異なる2つの材質を用い、50、100、300、500、1000時間と5段階の時間を設け、耐久性を調べる。ボイラー内は、高ければ1500度を超える温度まで上昇する。22年3月までの6カ月間、コストをどの程度で抑えられるかも考慮しながら、過酷な環境に耐えられる材質を選ぶ試験をする。

LNG以来、約半世紀ぶりに挑む火力の新燃料

JERAの碧南火力発電所。「アンモニア実証実験は日本全体の脱炭素が実現できるかの試金石となる取り組み」と谷川勝哉所長は言う
JERAの碧南火力発電所。「アンモニア実証実験は日本全体の脱炭素が実現できるかの試金石となる取り組み」と谷川勝哉所長は言う

 「液化天然ガス(LNG)火力発電以来の技術革新に挑むことになる。世界初のアンモニア発電に挑戦できることに大きなやりがいを感じている」。碧南火力発電所の谷川勝哉所長は意気込む。

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