脱炭素に向けた温暖化ガス削減を企業に迫るグリーンマネー。投資家や金融機関が気候変動対策に力を入れているか否かの判断材料となるのが、企業による情報開示だ。その巧拙によっても企業評価は様変わりする。

丸井グループは気候変動がもたらす損益影響について積極的に開示している
丸井グループは気候変動がもたらす損益影響について積極的に開示している

 11月16日、丸井グループの株価が一時2400円台に乗せ、前週に続いて年初来高値を更新した。新型コロナウイルス感染に収束の兆しが見える中、消費回復を期待した買いが入ったというだけではない。丸井が株式相場で「グリーン関連銘柄」としてたびたび取り上げられることも関係しているようだ。「この数年、1株あたり純利益の伸びより株価の伸びの方が大きい。ESG(環境・社会・企業統治)の取り組みがプレミアムとして上乗せされている、と投資家からも指摘された」。丸井IR部の沓掛奈保子課長はこう自負する。

台風や豪雨被害で約49億円の減益も

 欧米と足並みをそろえ、金融庁は上場企業に気候変動関連情報の開示を義務付けようと検討している。有識者会議を開き、方針を協議中だ。10月に開かれた会議の配布資料に「有価証券報告書における気候変動対応開示の好事例」と紹介されたのが、丸井だった。同社は主要国の中央銀行や金融監督当局が主導して温暖化対策を進める組織「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」に賛同し、有報でTCFDに基づいた情報開示をしている。TCFD賛同企業は多いが、詳しく情報開示をしている企業は少ない。

 丸井は「気候変動に関する情報開示の優等生」として投資家から一目置かれる存在だ。「台風や豪雨による水害で店舗の営業が休止するリスクがある。これにより不動産賃貸収入減で約19億円、浸水による建物被害で約30億円の減益が想定される」。IR部の沓掛課長は影響額をこう説明する。

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