脱炭素市場。それは成長が約束された市場である。世界各国は温暖化ガス排出量の削減義務を負い、再生可能エネルギーやEV(電気自動車)の産業振興を成長の起爆剤にする。変化を先取りした欧州企業は、「脱炭素の巨人」に生まれ変わった。かつて省エネや環境関連の市場を席巻した日本勢は復活できるのか。COP26(第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議)開幕直前。このシリーズでは、脱炭素市場における勝者の条件を探る。第1回は「450兆円争奪戦に取り残される日本」。

COP26のホスト国、英国のジョンソン首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
COP26のホスト国、英国のジョンソン首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 年間4兆ドル(約450兆円)の投資が必要だ――。

 国際エネルギー機関(IEA)は10月13日に公表した世界エネルギー見通しで、脱炭素に必要な投資額として衝撃的な数字を示した。同時に世界のクリーンエネルギーに対する移行が、「あまりに遅い」と糾弾した。

 各国政府に厳しい指摘となる一方、沸き立ったのは市場関係者だ。IEAは1970年代の石油ショックを機に経済協力開発機構(OECD)加盟国によって設立された組織で、もともと再エネ導入に積極的である。とはいえ、年間に必要な投資額を従来見通しの3倍と見積もった。今後の市場拡大を期待し、風力発電や再生燃料を手掛ける会社の株価は、IEAの発表以降に急上昇した。

 IEAがこのタイミングで、衝撃的な見通しを示したのは理由がある。10月31日から英グラスゴーでCOP26が開催されるからだ。厳しい削減義務を負うことを避けたい政府にくぎを刺し、CO2削減の実効性を高めようとしている。自ら今回の世界エネルギー見通しを「COP26のガイドブック」と位置付けた。

 95年の第1回から毎年開催されていたCOPだが、昨年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、初めて延期された。それだけにホスト国である英国は並々ならぬ意欲を燃やしており、オンラインではなくリアルでの開催を推進。ジョンソン英首相は、歴史的な内容での合意に意欲を見せている。

グリーンボンド活況

 COPは政治だけの舞台ではない。経済界にとっても重要なイベントだ。なぜならCOPは、何度も脱炭素関連の市場拡大の号砲になってきたからだ。特に2015年に仏パリで開催されたCOP21のインパクトは大きかった。50年までに気温上昇を産業革命前から1.5度以内に抑える目標で合意し、温暖化ガス排出量を実質ゼロ(カーボンニュートラル)にすることが既定路線となった。世界各国が目標達成のために様々な政策を導入しているため、着実に需要が見込める市場となり、投資額は増え続けている。

続きを読む 2/3 世界上位から消えた日本勢

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