2012年の固定価格買い取り制度(FIT)開始以降、急増した太陽光発電。近年の反対運動を受け、国は行政が区域を選定する地球温暖化対策推進法を改正した。一方、条例を制定する自治体も増えている。開発スピードが遅れるのではないか。30年まで他の再生可能エネルギーを先導する役割が期待されるが、太陽光を取り巻く状況は厳しさを増している。

山を崩して開発された大規模太陽光発電。全国で反対運動が増えている(写真:miyata /amanaimages/共同通信イメージズ)
山を崩して開発された大規模太陽光発電。全国で反対運動が増えている(写真:miyata /amanaimages/共同通信イメージズ)

 「自治体からすれば手間が増えるので、開発できる区域の選定がこれまでより狭まる可能性がある」

 今年5月、参院本会議で全会一致で成立した改正地球温暖化対策推進法(温対法)。改正法により、事業者主導だった地域選定を自治体が先行する形に変わる。しかし、その区域を選定するには自治体が災害の可能性などを踏まえて安全性を確認し、近隣住民の事前了解も得なければならない。環境エネルギー政策研究所の山下紀明主任研究員は、自治体の負担増が太陽光発電の開発スピードを遅らせるのではないかと指摘する。

景観などへの懸念から地域住民が反対

 法改正の背景には、太陽光発電など再生可能エネルギーの乱開発がある。景観などへの懸念から地域住民が建設に反対、事業開始が遅れたり、案件を断念したりする事例が増えている。名古屋大学大学院環境学研究科の丸山康司教授の講演資料(2019年分)から環境省が作成したデータによると、全国で太陽光発電を巡り起こっている反対運動は約40件にのぼる。

 特に、2012年の固定価格買い取り制度(FIT)開始以降は異業種から太陽光発電事業に参入する企業が増加。中国や韓国といった外資の企業も目立った。環境エネルギー政策研の山下氏は「法律さえ守っていればいいだろうという会社は多かった」と話す。反対運動が多いのは、利益を優先する一部の事業者が地域への配慮をないがしろにした結果だろう。

 実際、被害は起きている。

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