再生可能エネルギーの1つであるバイオマス発電の将来性に不安感が漂っている。欧州委員会は7月中旬、木材を燃料とするバイオマス発電の基準を厳格化する改正案を公表した。バイオマス発電への投資が相次ぐ日本でも、厳格化の先行きに不安を感じ、一部で投資を控える動きが出てきた。

(写真:PIXTA)
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 今年春、ある大手製紙会社は、予定していたバイオマス発電所への投資を、直前でやめることに決めた。投資を判断する過程で、昨年から欧州でバイオマス発電への風当たりが強くなっていることを知ったからだ。「大規模な投資をする前に、正しい情報を知ることができてよかった」。担当者は胸をなで下ろす。

 製紙会社担当者の不安は現実になりつつある。欧州委員会は7月14日、2030年に温暖化ガスの排出量を1990年比で55%削減する基本計画を公表。その一環として発表した再生可能エネルギー計画の改正案に盛り込まれたのが、バイオマス発電に対する基準の強化だった。

 改正案では、バイオマス発電の燃料は建材、資材に使えない部分の木材を使用すべきだとの原則に沿い、燃料のための伐採をしないようにとの注意を加えた。また、基準を求める発電所の出力規模を20メガワット(MW)以上から5MW以上に引き下げ。2020年以前に運転開始した発電所には温暖化ガスの排出削減率70%以上の条件を求めてこなかったが、稼働開始時期を過去に遡って出力規模5MW以上のすべての発電所を対象としている。

「すべて炭素中立とするのはあまりに単純」

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