日本の石炭火力発電設備の輸出先だった東南アジア各国は、環境対応をしないとファイナンスが付かない状況に追い込まれた。日本企業はいったい何を輸出すればいいのか。公的融資が付いている案件や、最先端の技術開発からヒントを探る。

前回から読む)

 新興国の要請に応じてエネルギーのインフラ設備を展開してきた日本企業にとって、ビジネス環境の激変は一大事だ。世界的に「発電をグリーンにする」よう圧力が高まるものの、いきなりアジアが水素社会や再生可能エネルギー100%になるのは難しい。

 これから日本企業は何を輸出すればいいのか。ADBとの協調融資も多い国際協力銀行(JBIC)の動きから、ヒントを探ってみたい。同行の根岸靖明執行役員もやはり「各国のエネルギー事情を見ると、一足飛びで脱炭素社会に到達するのは難しい」と語る。そこで移行期に役立つ日本の最先端技術を見極め、金融支援につなげる。

廃棄物処理の熱を有効活用した発電はアジアで増える見通し(写真はドバイ、伊藤忠商事提供)
廃棄物処理の熱を有効活用した発電はアジアで増える見通し(写真はドバイ、伊藤忠商事提供)

 今年3月、日立造船と伊藤忠商事がアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで手掛ける発電案件で、JBICは4億5200万ドルのプロジェクトファイナンス(事業融資)契約を結んだ。協調融資の総額は9億2700万ドル(約1010億円)で、三井住友銀行やみずほ銀行、仏大手銀行クレディ・アグリコルなどが参加する。民間融資の一部には、政府系の日本貿易保険(NEXI)が保険を付けている。

 この事例がユニークなのは、廃棄物処理で発電することだ。ごみを燃やせばCO2(二酸化炭素)が出る。そして燃焼時の熱を利用しなければ単に温暖化につながるだけだ。

移行期で重要なLNG

 ドバイでは生ごみでも埋め立て処理することが多く、メタンガスが出てしまう。今回の発電所は24年7月に完工予定で、世界最大規模となる年間190万トンの廃棄物を処理する。同地域で出るごみの約45%に相当し、出力194メガワットの発電燃料にできる。

 UAEの電力需要は右肩上がりで、過去10年で7割増えた。今後も需要は伸びる一方で、化石燃料を使えば温暖化ガス排出は単純にプラスされる。「そのシナリオと比較すると、ごみ処理発電には優位性がある。他の新興国でも有望な技術となる」(インフラ・環境ファイナンス部門の武内香奈枝ユニット長代理)

 化石燃料でありながら石炭より温暖化ガス排出が少なく、脱炭素の移行期に重要なのはLNGだ。今や風力が電源の5割を占める英国でさえ、風が弱いときはLNGの火力発電に頼っている。

続きを読む 2/3 アンモニアという選択肢

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1526文字 / 全文3045文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「脱炭素レボリューション」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。