石炭火力発電について、公的な資金支援は停止することで主要7カ国(G7)が合意した。さらにアジア開発銀行は厳格な融資方針を打ち出している。日本のインフラ産業がお得意先としてきた東南アジア各国は、環境対応をしないとファイナンスが付かない状況に追い込まれた。

石炭火力発電は温暖化を助長するとして、各国で猛抗議を受けるようになった(写真:AFP/アフロ)
石炭火力発電は温暖化を助長するとして、各国で猛抗議を受けるようになった(写真:AFP/アフロ)

 「インフラ整備にファイナンスが付かなくなったんだ、何とか助けてくれないか」。日本の経済産業省・資源エネルギー庁の幹部には、東南アジア諸国の政府高官からひっきりなしに協力要請の電話やメールが舞い込んでいる。

 各国に衝撃が走ったのは5月。アジア開発銀行(ADB)が示したエネルギー向け融資政策の草案が、想定をはるかに超える厳しさだった。「いかなる新規の火力発電案件にも資金支援しない」と明記し、さらに「石炭火力設備のアップグレードや改修にも関わらない」と駄目を押した。

 火力発電の新設が許されないとしても、「改修なら融資を受けられるのでは」との思惑も従来のアジア諸国にはあった。しかし、同じ石炭からより多くの電力を生み出す超々臨界圧(USC)のような設備への更新でも、原則として認められないことになる。

 国際エネルギー機関(IEA)は2019年時点で、東南アジアのエネルギー需要が今後約20年で6割増えると予測していた。電源構成の4分の1は石炭が占め、その利用量は現在の9割増という絵を描いていた。石炭なら安価で、新興国にはもってこいだった。

 ところが、この2年で世界はすっかり変わった。特に石炭火力は1キロワット時当たりの二酸化炭素(CO2)排出量が液化天然ガス(LNG)火力の約2倍あり、注目を集めやすい。

 まず影響するのは資金繰りだ。米ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースは19年末以降に相次ぎ、石炭火力への融資縮小を打ち出した。海外では政府への建設申請書に「coal(石炭)」という文字があると、環境団体から猛抗議を受けるようになった。日本の大手銀行も、新規の石炭火力への融資は原則停止せざるを得ない。

続きを読む 2/2 G7は日本に配慮も

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