一方、日本のエネ基だと30年時点でも石炭火力が電源構成の19%を占める。前回計画の26%と比べると7ポイント減だが、まだ依存度は大きい。なお、ガス火力の比率は前回の27%から20%へと7ポイント下げた。この2つで合計14ポイント減なので、再エネ比率を14ポイント引き上げた分について、辻つまを合わせた形だ。しかし、まだ火力の比率は高く、全体としてはグリーンエネルギーというより「灰色エネルギー」と見られてしまうだろう。

苦肉の石炭温存

 今回のエネ基には、苦しい事情が率直に書いてある。火力発電について「当面は再生可能エネルギーの変動性を補う調整力・供給力としても必要」と役割を明記した。一方、脱炭素に向けて「できる限り電源構成に占める火力発電比率を引き下げていくことが基本」とも記述した。

 この歯切れの悪さを払拭するには、本来なら蓄電池による調整力をどんどん拡大し、再エネの比率が上がっても問題がない社会にする必要がある。実際、30年度には蓄電池価格(産業用)を現在より75%安い1キロワット時あたり6万円にする目標を定めた。

 しかし、こうした施策の一方で、どうしても脱炭素に後ろ向きなイメージを与えてしまうのが石炭火力の温存である。

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