ビルなど大型建築だけでなく、新築住宅にも省エネルギー基準を義務付けた改正建築物省エネ法が成立した。国内の建築物から出るCO2(二酸化炭素)排出量は国内全体の3割に上る。脱炭素の波は電力・製造分野などの企業に加え、住宅産業にも一層の変革を迫る。

 改正法は6月13日に国会で成立した。国のエネルギー基本計画で2020年度から適用する予定にしてきたが、5年遅れとなる25年度からとなる。

 一時は同省での統計不正の発覚などによって法案の国会提出が見送られるのではと、心配の声があったが、ようやく改正が通った。

 従来、オフィスビルなど床面積の合計が300㎡以上の建物に義務付けられていた基準が、新たに新築住宅にも適用される。1999年に定められた断熱性能の基準を満たす壁、ガラスの使用を求める。例えば、壁の断熱材は「等級4」の性能が必要だ。

2025年度からすべての新築住宅、建物で省エネ基準を満たすことが義務付けられる(写真:PIXTA)
2025年度からすべての新築住宅、建物で省エネ基準を満たすことが義務付けられる(写真:PIXTA)

 建築分野の脱炭素の効果は意外に大きい。住宅からのCO2排出量は16%、ビルなど非住宅も合わせると32%に上る。省エネ対策の効果は冬場に出やすい。外気温が低くても外壁の断熱性能が高ければ、前日の夜に暖房を消しても翌朝、室温はさほど下がらない。その分、電気・ガス代の節約になる。

 産業界では、電力・製造分野を中心に、先行して抜本的な脱炭素の取り組みが始まっている。電力分野では、石炭火力の燃料にアンモニアを混ぜてCO2排出量を減らす実験が進められている。石炭の代わりに水素を活用した製鉄技術を開発する鉄鋼会社などを含め、製造業の各社も必死だ。

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