5月27日に閉幕した主要7カ国(G7)気候・エネルギー・環境担当閣僚の共同声明で、日本が石炭火力発電所の脱炭素化に用いる「アンモニア」が初めて文言として入った。アンモニア混焼はG7で日本が唯一進める石炭火力のフェードアウトの手法だ。これまで批判を浴びてきた日本の石炭火力をめぐる戦略が他国に理解された格好で大きな前進といえそうだ。

 「日本の主張が全面的に認められた。我々が考える脱炭素化のスケジュール通りの取り組みを進める環境が整った」

 萩生田光一経済産業相は5月31日の閣議後会見で、G7の会合を振り返り安堵の表情を浮かべた。議長国であるドイツは「石炭火力の30年までの段階的廃止」を提案したが、米国が「30年代」にこだわったほか、日本も反対を主張し、期限明示は見送られた。世界を覆うエネルギー危機で脱炭素以上に安定供給が重要課題に上がったことが大きく影響したとみられる。

ドイツで開催されたG7気候・エネルギー環境閣僚会合。日本が石炭火力発電所の脱炭素化で用いる「アンモニア」が初めて共同声明の文言に入った(ロイター/アフロ)
ドイツで開催されたG7気候・エネルギー環境閣僚会合。日本が石炭火力発電所の脱炭素化で用いる「アンモニア」が初めて共同声明の文言に入った(ロイター/アフロ)

アンモニア混焼はG7で日本だけ

 一見すると実りが少ない今回のG7だが、日本にとっての収穫は大きい。共同声明に初めて脱炭素化を実現する手法として「アンモニア、水素」の単語が盛り込まれたからだ。特にアンモニアは、日本が石炭火力の燃料に混ぜることで二酸化炭素(CO2)排出量を漸減させる計画がある。G7で唯一、日本が取り組む脱炭素手法に他国が理解を示した結果と言える。

 これまで日本は、CO2排出量が多い「悪者」の石炭火力を「延命している」と批判を浴びてきた。すでに各国レベルで廃止時期を明示しているEUに対して、日本は期限を設けられていない。気候変動をめぐるこれまでの会合でも日本は孤立してきた。

 その原因は、今回声明に盛り込まれたアンモニア混焼など独自のフェードアウト法にある。石炭火力の廃止方法が日本とEUでは異なっているのだ。

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