ロシアによるウクライナ侵攻が燃料高騰に一段と拍車をかけている。落ち着く気配をみせない値上がりを背景に、専門家は2022年度の日本の電気料金の負担が前年度比3兆~5兆円増えると指摘する。ユーザーである産業界や家計にとっては大きなコスト増要因となり、景気の先行きにも影を落とす。

 「福島第1原発事故のときは国内だけの問題だったが、今回は世界規模で危機が拡大している。いつ終息するのかまったく見えない」。ある大手電力関係者は不安げに話す。気掛かりなのは、天井が見えないLNG(液化天然ガス)の燃料高騰による電気料金の上昇だ。

 いまや主力電源になったLNG火力発電は、日本の電源構成のうち最も比率が高い37%を占める(19年度)。国内の電気料金はすでにこの1年で平均約3割も上昇し、過去5年で最も高い水準で推移している。

LNGを運ぶ輸送船。LNGの価格高騰は日本国内の電力料金の値上がりに直結する(写真:共同通信)
LNGを運ぶ輸送船。LNGの価格高騰は日本国内の電力料金の値上がりに直結する(写真:共同通信)

大手電力6社が赤字へ

 燃料価格の変動で電力会社の業績が左右されないよう、電気料金を算定する際に用いられるのが燃料費調整制度だ。今のような料金の上昇局面では3カ月遅れで顧客に負担を求める。ただ、電力会社にとってこの制度が使えるのは、あらかじめ設定した上限に料金が達するまでだ。大手10電力のうち5社がすでに上限に達した。

 それでもコスト増が続くと、電力会社の利益が侵食される。最初に上限に達した北陸電力の担当者は「今後、燃料価格がどう動くか注視している」と話す。国内主要10電力の21年4~12月期決算が出そろった1月末の段階で、すでに6電力が22年3月期通期に最終赤字を見込んでいた。その後のロシアによるウクライナ侵攻を受けて各社の調達コストは一段と膨らんでいるもようだ。

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