(前回は「三菱商事や戸田建設、インフラ開発「エネルギー多消費」を返上」)

 脱炭素経営ランキングで上位には入らなかったものの、一部の専門家が熱い思いで支持した企業がある。強い覚悟を持って脱炭素に果敢に挑戦する先進企業を、専門家のコメントを交えながら紹介しよう。

 支持を集めた企業群の一つは、製鉄大手だった。酸化還元反応を利用するため、鉄を1トンつくる際、二酸化炭素(CO2)が2トンも排出される。日本のCO2排出量の約1割を鉄鋼業界が占めることから、気候変動を巡る議論の中で、悪者扱いされることも珍しくない。しかし、だからこそ製鉄大手は脱炭素シフトに社運を懸けてきた。

 JFEホールディングス(39位)は、「(炭素中立を目指し)2030年に向けたトランジション(移行)段階と、その後のイノベーション戦略を策定し、エネルギー多消費セクターの脱炭素戦略の描き方の先べんをつけた先駆性」が評価された。

 高炉の制御に人工知能(AI)などを活用する高効率化や、高炉から発生するCO2をメタンに転換して還元材として繰り返し使うカーボンリサイクル高炉の開発などを進めている。1月20日には、CO2を多く排出する事業の脱炭素化の資金を調達する「トランジションボンド(移行債)」を製造業としては国内で初めて22年度に発行すると発表した。

背水の技術革新に挑む

 日本製鉄(45位)も、「脱炭素化が他分野と比較して困難といわれる製鉄分野において、(中略)他国に先駆けたゼロカーボン・スチールの実現などに取り組んでいる点」が評価された。鉄鉱石を、炭素ではなく水素を用いて還元することで、CO2の排出を大幅に抑える技術や、大型の電炉を組み合わせた高級鋼の製造など「超革新技術」の開発などを通じたゼロカーボン・スチールの実現を、「経営上の最重要課題」と位置づける。

 自動車の省エネや洋上風力発電などの再エネ設備など、社会全体の脱炭素の基盤となる鉄鋼は依然として「産業のコメ」であり、ゼロカーボン化は世界共通の課題だ。巨大市場を手にするか、手放すことになるのか、製鉄大手は背水の覚悟で技術開発に挑んでいる。

 酒類大手のアサヒグループホールディングス(GHD、32位)も多くの専門家の支持を集めた。ランキングでは32位だったが、回答を寄せた68人の専門家のうち、各自の「脱炭素トップ10企業」に同社が入ると評価した人が10人もいた。この、いわば「得票数」で順位をつけると、アサヒGHDは14位へと浮上する。

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