2021年末、国が洋上風力発電の事業者を決める公募入札で、三菱商事を中心とする企業連合が3海域すべてを勝ち取ったことが波紋を広げている。落札の決め手となったのが、破格の売電価格だったからだ。地元対応や事業実現性といった評価項目を重視してきた競合は、努力の方向が正しかったのかを問い直している。

(写真:PIXTA)
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 「こうした点数配分では、今後、地元調整など定性面へリソースを割きにくくなる。合理的な考えにならざるを得ない」

 外資エネルギー大手の幹部は厳しい面持ちでつぶやいた。この企業は21年、日本の第1弾となる洋上風力発電の公募に応札した。日本は欧州と比べ、立地地域を非常に大事にする。そうした日本特有の事情を考慮して準備を進めてきた。だが結果は、次点に大差をつけて三菱商事を中心とする企業連合が3海域を総取りした。競り負けた企業の落胆ぶりは相当だ。

 この外資幹部が言う「定性面」とは、立地地域の地元対応や、事業の実現可能性を示す評価項目だ。洋上風力の公募では、こうした定性面と、売電価格を競う「定量面」にそれぞれ120点ずつを配分し、総合点で事業者を決める。各社は案件を勝ち取るため、3海域がある秋田県と千葉県に足を運んできた。再エネ専業のレノバや大手ゼネコンの大林組などは、国が公募をすると決める前からこうした活動を進めてきた。地元対応は金銭では解決できない取り組みが多い。だが、苦労は水泡に帰した。

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