(前回は「中国と頂上決戦、日本製鉄が挑む『ゼロカーボン・スチール』」)
この連載では、脱炭素という果てしない目標に到達するための「超絶技術」を紹介する。第2回は植物由来の人工合成たんぱく質という新素材を手掛けるバイオベンチャーを取り上げる。石油由来、動物由来といった既存繊維の代替素材として注目を集めている。競合がまだいない広大な地平を切り開けば、中堅中小企業がゲームチェンジャーになれる分野もある。
タイ東部のラヨーン県。キャッサバ畑が広がるのどかな風景の中、バイオベンチャーのスパイバー(山形県鶴岡市)の工場がある。今春に予定する人工合成たんぱく質素材「ブリュード・プロテイン」の量産プラント稼働に向け、着々と立ち上げ準備を進めているところだ。日本の試験的工場に加えて、量産拠点のタイ工場が稼働すると生産量は大幅に増える。

スパイバーは微生物による発酵によって人工たんぱく質を製造する。カシミヤ、ウールなど動物繊維や石油由来の化学繊維を代替する性能を持ち、環境負荷が低い。温暖化ガス排出が多い原料に頼らない、次世代素材「グリーンマテリアル」として注目を集める。原料にはサトウキビ、コーンなど植物由来の糖を使うことができる。
関山和秀代表は「反すう動物の羊やヤギが排出するメタンガスは大量で、ウール生産の温暖化ガス排出量は繊維全体の15%を占める。動物性繊維を人工たんぱく質に置き換えていく」と語る。
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