乾坤一擲の大勝負より、楽しみながら資産運用を

 中には自分の許容限度額いっぱいに投資をしているところで暴落が来ると、「ここが勝負時!」とばかりに、本来は安全資産として持っているお金もつぎ込む豪気な人もいる。しかしながら、それは明らかに「無理をしている」ことになる。

 まあ、乾坤一擲(けんこんいってき)、勝負を賭けるというのもあっていいのだが、その場合怪我(けが)が大きくなるかもしれない覚悟はしておかなければならない。仮にそんなことになって自分の資産が大幅に減ったとしても「また働いて稼げばいい」と思える人ならともかく、それが嫌ならやはり投資に回す金額には自分で決めた上限を設けておくことだろう。

 実をいうと、株式投資で大きな財産を作った人の中には、かなり無理をして大勝負を賭けたことで大きく儲けた人も一定割合はいる。というか、何十億円もの資産を作った人は、それが株式であれ、不動産であれ、一度はそういう大きな勝負は経験しているはずだ。何度もいうようにリスクを取らない限りリターンを得ることはできないからこそ、まさに乾坤一擲の勝負をして勝った人は大きなご褒美を得ることができたということなのだろう。 

 しかしながら私も含めて大多数の人はそこまでリスクを取って勝負を賭ける必要はないだろう。投資の目的は人によって異なるが、多くの人にとっては、楽しみながら資産を少しずつでも増やすことが目的のはずだ。であるなら、投資で一番大切なことは「決して無理をしない」ということである。

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誰も教えてくれない投資の真実34

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