高いリスクを取らなければ、高い収益を得るのは難しい
誤解のないようにいっておくが、私は投資はやらない方がいいといっているわけではない。もしできるのなら投資はした方がいいのだ。
数年前にフランスの経済学者トマ・ピケティが書いた『21世紀の資本』という本がベストセラーになったが、その中で注目されたのが「r>g」という公式である。このrは資本収益率、簡単にいえば投資による利益を指している。一方、gは通常の経済活動によって生まれる経済成長率のことであり、労働者の側から見ればどれぐらい給料が増えるかということを表しているといってもいいだろう。ここではr>gとなっているので、給料よりは投資収益の方が大きく、それが社会格差につながっていると述べられている。
でもこれは考えてみれば当たり前だ。なぜならr(投資収益)を得る源泉にはリスクが含まれているからである。サラリーマンよりはオーナー経営者の方が高いリスクを取って仕事しているのは当然で、その見返りとしてオーナー経営者には高い報酬がもたらされるのと同様、投資も高いリスクを取らなければ、高い収益を得ることは難しいということは先ほども述べた通りである。
取れるリスクの大きさは人によってさまざまなので、必ずしも高いリスクを取らなければならないということではない。
しかしながらリスクの大小は違っても、それを取る覚悟のある人だけが投資をおこなうべきであることは間違いない。なぜなら世の中に、リスクなしに大きな利益だけ得られるなどという、うまい話はないのだから。
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誰も教えてくれない投資の真実34
「長期投資ならリスクは小さくなる」「リスクの大きいものはリターンも大きい」「初心者はまず投資信託から」――これらは実は、勘違い?
大手証券会社で投資相談を担当し、何万人もの個人投資家を見てきた著者が、「儲かる人」「儲からない人」の違いを分析。目の前にあふれる情報に振り回されず「自分の頭で考えて投資する」ための考え方の基本について紹介する。
大江英樹(著)
日本経済新聞出版
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