「投資は誰でもできる」「考えるよりまず動け」の危険性
ところが残念なことにいつの時代も投資を始める人の多くはこの大原則をあまり理解していない。理解せずに投資を始めるからこそ、暴落がやってきた時にあわてて持っている株を手放し、資産を激減させて、「こんなはずではなかった」「騙(だま)された」などと嘆く。
まず初めに考えるべきことは、①「自分でリスクを取れるかどうか」である。よく「株式投資の儲けは不労所得」だという人がいるが、それは大きな間違いである。そういうことをいう人は「働く」ということの定義を誤解している。工場でモノを作ったり、それを売ったり、会計の計算をしたり、といった目に見える労働だけが仕事だと思っているのだろう。ところが会社の経営者はそういうことはしていない。トヨタ自動車の社長は自分ではネジ一つ作らないだろうし、ユニクロの社長だって店舗に立って洋服を販売することはないだろう。でも彼らは立派に仕事をしている。それは「リスクを取って判断する」という仕事だ。
人、モノ、金という経営資源をどこに投入するのが一番高いリターンが得られるのかを判断し、決断したら、あとは責任を取る、ということなのだ。リスクを取らない限り、お金を稼ぐことはできない。ビジネスでも投資でも全く同じことである。どこまでリスクを取る覚悟があるかによって得られるリターンの大小も変わってくるのは当然なのだ。

また、投資で最も大事なことは、②「自分の頭で考えて判断すること」だ。人に「何か良い投資対象はないか?」とか「どの株を買えば儲かるか?」と聞くのは全くナンセンスである。投資は失敗しても誰も責任をとってくれない、あくまでも自己責任なのであるから、どこまで行っても自分で考えて自分で判断するしかない。そのためには③「ある程度の勉強をしておくこと」も大事である。
にもかかわらず、「投資は難しいものではない」「誰にでもできる」といった甘い言葉に引き寄せられ、「何も考えなくてもいいから、まず始めた方がいい」といわれて投資を始め、そして損を出して後悔する人はとても多い。
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