世界最大の自動車購入国であり、世界最大の自動車生産国でもある中国。中国の自動車産業は着実に力をつけてきた。さらに、電動化や自動運転などの「CASE」の進展とともに、部品やソフト、製造など様々な分野で中国企業の存在感が増している。名実ともに自動車産業の中心地となろうとしている中国で今、何が起きているのか。日中の自動車メーカーやサプライヤー、電池や材料のメーカーとの幅広い接点を持ち、『中国のCASE革命―2035年のモビリティ未来図』を著した湯進氏が読み解く。(この連載の論考は筆者の見解であり、所属組織とは無関係です)
(写真:Shutterstock)
シリーズ
湯進の「中国自動車最前線」

14回
-
上海発の中国自動車危機 半導体・部品供給の寸断で車生産は綱渡り
中国では3月以降、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染が拡大している。高齢者のワクチン未接種者が多いため、中国政府は「ゼロコロナ政策」を実施し、ロックダウン(都市封鎖)など強い規制を採用した。その影響が直撃し…
-
固体電池をいち早く搭載 「中国版テスラ」のNIO、24年黒字化へ
中国の新興EV(電気自動車)メーカー、上海蔚来汽車(NIO)が2022年3月28日、フラッグシップと位置づけるEVセダン「ET7」の納車を開始した。米テスラのような高級路線を進むNIOは、最新の技術を搭載する高級車を次々…
-
「EV輸出大国」へひた走る中国、レアメタルの調達難が試練に
ロシアによるウクライナへの侵攻により、ロシアへの依存度が高いパラジウムやニッケルといった自動車部品や車載電池の生産に欠かせないレアメタルの調達懸念が強まっている。昨年から原材料価格の上昇や車載半導体の不足が各国の自動車関…
-
北京冬季五輪に燃料電池車1000台 EV大国・中国でFCVブーム?
雪上や氷上の熱い戦いが繰り広げられてきた北京冬季五輪。その選手や関係者の移動手段として約1000台もの燃料電池車(FCV)が投入されている。中国政府や地方政府もFCVの普及やサプライチェーン構築に向けた推進策を打ち出して…
-
電池交換式EVに照準定めたCATL 秘策「チョコレート電池」とは?
中国の車載電池最大手、寧徳時代新能源科技(CATL)が1月18日、電気自動車(EV)向けの電池交換サービス「EVOGO(楽行換電)」を始めると発表した。翌19日にはCATLの供給先である中国自動車大手、吉利汽車が電池交換…
-
激動の2021年、湯進が選んだ中国自動車業界10大ニュース
車載半導体の不足や電力消費量の制限などが自動車生産に与える影響が深刻になってきた2021年の中国自動車業界。それでも、景気回復や消費促進政策の効果などにより、新車販売台数は前年比3%増の2600万台に達し、4年ぶりのプラ…
-
「航続距離1000km」も 広州ショーに見る中国のEVシフト加速
2021年11月28日まで10日間にわたって広東省広州市で開催された「広州国際汽車展覧会(広州モーターショー)」。地場の大手自動車メーカーが電動化やコネクテッドに注力する姿勢を鮮明にし、これまで電動化に出遅れてきた日系自…
-
中国も悩む車載半導体不足 「センサー後付け」「キーは1個」も
車載半導体の不足により、中国の自動車業界では予想もしなかったようなことが起きている。ドイツ・アウディのディーラーは「車齢1年の中古車を新車購入額で買い取る」と破格の取引条件を打ち出した。中国新興メーカーの上海蔚来汽車(N…
-
テスラやトヨタも頼るEV電池の巨人、中国CATLが狙う覇権
中国の車載電池最大手、寧徳時代新能源科技(CATL)。電気自動車(EV)への移行が加速する中、国内外で積極投資を続けている。その競争力はどこから生まれているのだろうか。
-
テスラやアップルに負けない スマホ大手シャオミ、EV参入の必然
中国のスマートフォン大手、小米(シャオミ)が9月1日に電気自動車(EV)事業を手掛ける新会社「小米汽車」を設立したと発表した。既にEV工場の建設に向けた交渉に入っているという。2021年3月にEV事業への参入を発表し、わ…
-
中国のEVクレジット規制、日系メーカーの負担は1200億円相当に
中国が2019年から導入した「ダブルクレジット規制」。罰則付きの規制によって、自動車メーカーに燃費の改善と電気自動車(EV)生産の拡大を促す制度だ。規制が年々厳しくなるなか、ガソリン車の販売が好調な日系メーカーに対応コス…
-
価格破壊で中国EV市場攻めるテスラ モデルYを実質2割値下げ
電気自動車(EV)大手の米テスラが7月、中国市場での「モデルY」の価格改定を発表した。中国当局からの行政指導や消費者の苦情への対応のまずさなどで逆境にある中で断行した値下げの影響とは。
-
「世界最大のEV市場」中国 総量だけでは見えない実態
補助金の支給やナンバープレートの優先発給などで電気自動車(EV)市場が拡大した中国。かつてはタクシーや配車サービスに向けた商用車をEV仕様にしたものが大半だったが、2020年に市場トレンドが一変。高級EVと小型EVに二極…
-
中国の「三人っ子政策」、日本の自動車メーカーの追い風に
中国政府は5月末、1組の夫婦につき第3子まで出産を認める方針を示した。14~16年にかけて2人目の子どもを持つことを認めるようになった影響で、中国の自動車市場ではセダンより車内空間が大きいSUV(多目的スポーツ車)の需要…
WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
おすすめのシリーズ
-
小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明
「ピース・オブ・ケイク(a piece of cake)」は、英語のイディオムで、「ケーキの一片」、転じて「たや…
-
徹底予測2021年 底打ちか奈落か
日本経済の節目の年として幕を開けた2020年は、誰もが予想できない最悪の1年となった。すべての始まりはコロナ禍だ…
-
クルマ大転換 CASE時代の新秩序
総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
-
不屈の路程
話題の経営者や気鋭の起業家はいかにして自らの経営を確立するに至ったのか。そこにたどり着くまでの道のりは決して順風…
-
菅野泰夫のズームイン・ズームアウト欧州経済
ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
-
1000年企業の肖像
日本は創業100年以上の企業が多くあり、世界一の長寿企業大国として知られる。その中には創業1000年を超えると伝…
-
10 Questions
いま、世の中で起こっていること。誰もが知りたいと思っていること。でも、ちゃんと理解できていないこと。漠然と知って…
-
河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは…
-
ファクトフルネス思考
「データを基に世界を正しく見る習慣」を紹介した書籍『ファクトフルネス』は、日本で90万部を超えるベストセラーとな…
-
大西孝弘の「遠くて近き日本と欧州」
日本の読者にとって欧州のニュースは遠い国々の出来事に映るかもしれない。しかし、少子高齢化や低成長に悩み、企業の新…
-
グルメサイトという幻
食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメ──。外食店探しに欠かせない存在となったグルメサイトの地位が揺らいでいる…
-
フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える
この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
-
ファストリ、異次元の経営
コロナ禍の混乱からいち早く抜け出したファーストリテイリング。破綻が相次ぐアパレル業界にあって、なぜユニクロだけが…
-
テスラが仕掛ける電池戦争
日本でも2030年代半ばに新車販売でガソリン車をゼロにする方針が打ち出されるなど、各国の環境規制強化により普及段…
-
70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
全8回