車載半導体の不足や電力消費量の制限などが自動車生産に与える影響が深刻になってきた2021年の中国自動車業界。それでも、景気回復や消費促進政策の効果などにより、新車販売台数は前年比3%増の2600万台に達し、4年ぶりのプラス成長となる見通しだ。21年の上海モーターショー(4月)と広州モーターショー(11月)は業界の変化を色濃く映し、最新の電気自動車(EV)のオンパレードとなった。この1年間の中国自動車業界の激動ぶりを、筆者が選ぶ10大ニュースで振り返っていく。

21年4月に開催された「上海モーターショー2021」(写真:ロイター/アフロ)
21年4月に開催された「上海モーターショー2021」(写真:ロイター/アフロ)

第10位 車載半導体の不足、新車市場に影響

 20年末から目立ち始めた世界的な半導体不足が中国自動車業界に大きな影響を与えた。コンシューマー・エレクトロニクス向けの半導体需要の拡大が車載半導体不足の一因だが、それだけではない。スイスSTマイクロエレクトロニクスのマレーシア工場で一部の生産ラインが停止した影響により、中国市場で多くの自動車メーカーが採用しているドイツ・ボッシュの横滑り防止装置が供給不足に陥るなどの問題が発生した。ドイツ・フォルクスワーゲン(VW)は車載半導体の不足により、21年の中国での生産台数を前年比で45万台減らした。ドイツ系に限らず、日系や地場の自動車メーカーも一部車種の減産に追い込まれた。いまだ深刻な状況にある半導体不足が22年末まで続くとの見方もある。

第9位 中国のデータ規制と滴滴出行の上場廃止

 配車サービス大手の滴滴出行(ディディ)は21年6月末に米ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場した。その直後、ディディは「個人情報を違法に収集した」として中国政府によるアプリのダウンロード規制を受けた。事業展開に支障を来したディディは12月3日にNYSEでの上場を廃止した。

 背景にあるのは、米国へのデータ流出を警戒した中国政府が11月1日に施行した個人情報保護法だ。同法では、企業(外資系を含む)が中国国内で顧客データを収集・処理するには本人の同意が必要となり、収集した情報は中国国内で保存しなければならない。外国に持ち出す際は安全審査や一定の手続きが必要となり、違反には業務停止を含む罰則が科される。中国政府はこうした新規制によって大手IT・テック企業への統制を強化しつつ、国家戦略に欠かせないビッグデータ産業体系の構築も推進している。

第8位 強まる米テスラへの批判

 4月の上海モーターショーで起きた事件の一つが、米テスラの「モデル3」の品質問題を女性ユーザーが訴える騒ぎだった。テスラは「顧客の不当な要求には妥協しない」と発表し、強気な姿勢を見せたが、中国国営の新華社通信はテスラを厳しく批判。結局、テスラは謝罪に追い込まれ、管理体制を強化する方針を示した。

 これに先立つ2月には、中国の国家市場監督管理総局がテスラに対し、車両の発火、異常な加速、無線ソフトウエア・アップデートの失敗などの問題があるとして行政指導をしていた。また、モデル3の車載カメラによる情報収集が問題視されたことを受け、テスラはデータを中国国内で保存する目的で上海にデータセンターを新設した。中国政府は現時点では「テスラたたき」のような姿勢こそ取っていないものの、適切な消費者対応や車両の完成度の維持といった面でテスラは依然課題を抱えている。

第7位 EVシフトを急ぐ日系自動車メーカー

 中国で新車販売が好調な日系自動車メーカーは、中国政府の規制目標を達成すべくEVシフトを一段と加速している。トヨタ自動車はSUBARU(スバル)と共同開発した多目的スポーツ車(SUV)タイプのEV「bZ4X」を22年に発売する予定。ホンダは、中国で22年春に同社初のEVブランド「e:N」を投入し、EV専用工場も新設する。日産自動車は、新型EV「アリア」を22年に発売し、独自のハイブリッド技術「e-POWER」を搭載した車両も投入する予定。マツダは21年に中国で初めてEV「CX-30EV」を発売したほか、三菱自動車は中国のみで販売するEV「エアトレック」を投入する計画を示している。各社がようやくEVの生産体制の構築に踏み出したため、日系企業のEVシフトへの本気度を疑う見方も変わりつつある。

トヨタ自動車が中国で22年に発売予定の「bZ4X」
トヨタ自動車が中国で22年に発売予定の「bZ4X」

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