中国の大手電気自動車(EV)メーカー、比亜迪(BYD)は11月16日、深セン本社でイベントを開催し、EVとプラグインハイブリッド車(PHV)を中心とする新エネルギー車(NEV)の累計出荷台数が中国企業として初めて300万台に到達したと発表した。100万台に到達するまで13年かかったのに対し、100万台から200万台までは1年、200万台から300万台まではわずか半年と、成長を加速させている。

 BYDに先んじて、8月に累計出荷台数が300万台に達したのは米テスラだった。同社の上海工場「ギガファクトリー3」だけですでに100万台目のEVの出荷を実現している。BYDの猛追によって、世界の電動車市場がテスラ1強から「テスラとBYDの2強」時代に突入したと言える。

BYDが日本でも2023年に発売する多目的スポーツ車(SUV)タイプのEV「ATTO3(アットスリー)」(写真:REX/アフロ)
BYDが日本でも2023年に発売する多目的スポーツ車(SUV)タイプのEV「ATTO3(アットスリー)」(写真:REX/アフロ)

 2022年1~9月の世界のEV・PHV市場を見ると、BYDとテスラがトップ2で、両社シェアの合計は全体の3割を超えた。世界でも中国市場でも両社が激しい競争を繰り広げている。

 中国では、継続している「ゼロコロナ政策」が新車市場に影響を与えているが、それでもNEV 市場はなお好調が続いている。

 NEVの販売台数は新型コロナウイルス禍前の136.7万台から21年の352.1万台に急増。22年1~10月には528万台となり、22年通年の販売台数は650万台を超える見込みだ。充電インフラの整備、車載電池の品質向上、車種ラインアップの増加などにより、ガソリン車に対するNEVの競争力が向上しつつあることが背景にある。

 中国NEV市場の御三家を見ると、首位BYDがEVとPHVの2本柱で幅広い消費者層の支持を得ているのに対し、3位のテスラは大都市の中間所得層や富裕層向けの中・高級EVの販売に特化している。

 2位の上汽通用五菱汽車(ウーリン、上海汽車集団や米ゼネラル・モーターズ=GM=が出資)は、6万元程度(約115万円)の廉価EVを主力として中小都市や農村部の消費者をターゲットとしている。

 BYDとテスラは、異なる価格戦略と技術路線を採用してきた。ただ、急激にEVシフトが進む中、ここに来て車種の「すみ分け」から「競合」に移行する一方、電池では「協業」へと変化が生じていることは見逃せない。

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この記事はシリーズ「湯進の「中国自動車最前線」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。