北京で10月に開かれた中国共産党の第20回全国代表大会で、習近平(シー・ジンピン)総書記は政治報告を行い、今後の国の発展戦略を示した。「中国式現代化」という新たな政治スローガンが登場した報告を読むと、3期目となる習政権の経済政策は国内自動車産業、特に電気自動車(EV)メーカーにとって追い風となりそうだ。
中国の電気自動車(EV)メーカーが資本市場で活発な動きを見せている。
中国の国有大手自動車メーカー、広州汽車集団傘下の電気自動車(EV)メーカー、広汽埃安新能源汽車(AION)は10月20日、シリーズAのラウンドで、53の戦略的投資者(企業・投資ファンド)から合わせて約183億元(約3700億円)を調達した。
今回の資金調達を受けて、同社の企業価値は1032億元と推計されている。近い将来にシリーズBのラウンドを実施し、2023年には新規株式公開(IPO)を目指す。

中国民営自動車大手の吉利汽車は10月31日、傘下の高級EVブランド「ZEEKR」をスピンオフさせて、証券取引所に上場させると発表した。上海汽車集団傘下の智己汽車(IM Motors)、東風汽車集団傘下の嵐図(Voyah)など国有大手自動車メーカーの高級EVブランドも資金調達を行い、今後のIPOに備える。
こうしたメーカー各社のダイナミックなEV事業展開の背景には、中国政府主導のエネルギー・環境政策およびデジタル社会の構築の方針によって、自動車技術のパラダイムの転換や、外資ブランドが支配する自動車市場の構造変化が期待されていることがある。地場企業に新たなキャッチアップの機会が到来しているというわけだ。
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