米テスラが2021年7月、中国で販売している電気自動車(EV)の価格を改定すると発表した。特に人気を集めているSUV(多目的スポーツ車)型の「モデルY」に、29万1800元(約495万円)の「スタンダードレンジプラス」と呼ぶ標準タイプを設定した。
この価格にテスラの狙いがある。中国では販売価格30万元以下のEVが補助金の支給対象になるからだ。モデルYの既存タイプの価格は34万7900元(約590万円)。実質的な購入価格は従来比で19%安い27万6000元(約470万円)になり、業界に波紋を広げている。

高度な運転支援機能を備えるハイテク性や、高級ガソリン車と比べても遜色ないステータスを武器に、テスラは中国市場で「高級車」というイメージを浸透させることに成功した。他社のEVに比べて残価率が高く中古車市場で値崩れしにくいことも中国の消費者は評価している。車齢3年の残価率(20年末時点)でみると、EVの平均が47%なのに対し、テスラ車は66%と高い。
テスラは上海自由貿易試験区に建設した大型工場「上海ギガファクトリー」で生産した「モデル3」だけで20年の中国EV乗用車市場で首位に立ち、地場ブランドを大きく引き離した。テスラの中国での販売台数は18年の約1万6000台から20年の約14万台へと急増。21年1~6月は16万台に達し、中国市場はテスラの世界販売の42%を占める水準になった。
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