中国のネット検索最大手、百度(バイドゥ)傘下の集度汽車(Jidu Auto)は6月8日、バイドゥが開発したメタバース(仮想空間)「希壌(シーラン)」で、電気自動車(EV)の第1号モデル「ROBO-01」を発表した。2022年秋に限定モデルを投入し、23年には量産を始める予定だ。

 米テスラのEV「モデルY」との競合を念頭に置いて、価格を20万元(約400万円)台に設定する見通しだ。「次世代スマート技術でモデルYに勝ち抜く」。集度汽車の夏一平CEO(最高経営責任者)はこう語った。

 米アップルは5月に米フォード・モーターの元幹部を採用し、25年のEV参入に向けて「アップルカー」プロジェクトを推進しているとされる。電子機器の受託製造サービス(EMS)世界最大手の鴻海(ホンハイ)精密工業もEVバスを投入するなど、大手テック企業や電子企業の参戦により世界の自動車業界で本格的な地殻変動が始まっている。

集度汽車はメタバースでEV「ROBO-01」を発表した
集度汽車はメタバースでEV「ROBO-01」を発表した

強みはAI・自動運転技術

 21年3月、バイドゥは、中国民営自動車大手、浙江吉利控股集団と合弁で集度汽車を設立し、EV事業に参入した。バイドゥはICT(情報通信技術)やAI(人工知能)を活用して自動運転やドライバーの利便性向上を実現する「スマートカー」を投入する予定だ。

 吉利はEV専用プラットフォームや生産設備を提供し、バイドゥの独自ブランド車の製造を請け負う一方、バイドゥからICTやソフトウエア技術の吸収を図る。従来の自動車メーカーとテック企業の提携から中国のEVシフトが新たな一歩を踏み出したといえよう。

 

 バイドゥは近年、依存度の高い検索事業からAI関連事業への転換を図っており、AIプラットフォーマーとしての地位確立を急いでいる。なかでも同社が17年に開発した自動運転のプラットフォーム「アポロ計画」は最も注目されているAI事業であり、トヨタ自動車やホンダのほか、独フォルクスワーゲン(VW)や独メルセデス・ベンツグループ、米インテル、米マイクロソフトなど210社以上が参加している。

 

 バイドゥは得意とするソフト開発を自動運転技術と融合し、データを「アポロ計画」の参加企業に公開することにより、自動車メーカーの自動運転車両の開発を促している。自動運転システムでは、「スマート操縦」「スマートコックピット」「スマートマップ」「スマートクラウド」の4種類のシステム構築を進めている。オープンリソースとして、システムごとに単独で顧客に提供できる「レゴ式ソリューション」を特徴としている。

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