中国では3月以降、新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」の感染が拡大している。高齢者のワクチン未接種者が多いため、中国政府は「ゼロコロナ政策」を実施し、ロックダウン(都市封鎖)など強い規制を採用した。その影響が直撃したのが、製造業の一大集積地である上海だ。当局は生産活動の再開を主要企業に求め、企業もそれに応じつつあるが、このまま正常化できるかどうかは予断を許さない。

 中国の新興電気自動車(EV)メーカー、小鵬汽車(シャオペン)の何小鵬CEO(最高経営責任者)は4月14日、対話アプリ「微信(ウィーチャット)」に「上海周辺のサプライチェーン(供給網)を再開させなければ、5月に全ての国内自動車メーカーが生産を停止するだろう」と書き込んだ。

 その翌日には、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)のスマートカー部門の余承東CEOが、自身の交流サイト(SNS)で「上海にサプライチェーンがある幅広い産業が5月以降、全面的に生産停止に追い込まれる」と警告した。

 実際、4月の中国の新車販売台数は前年同月の半分近くまで落ち込んだ。中国全土の自動車生産を停止する事態にはなっていないものの、上海の長引くロックダウン(都市封鎖)は、サプライチェーンの混乱を拡大し、中国の自動車生産に間違いなく影響を与えている。

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