中国の新興EV(電気自動車)メーカー、上海蔚来汽車(NIO)が2022年3月28日、フラッグシップと位置づけるEVセダン「ET7」の納車を開始した。米テスラのような高級路線を進むNIOは、最新の技術を搭載する高級車を次々に投入して、「ABB」(Audi、BMW、Benzの頭文字)などの高級ガソリン車のユーザーを獲得しようとしている。ここまでは赤字が続く「中国のテスラ」は飛躍できるだろうか。

生産ラインで完成したEVセダン「ET7」(写真:NIO)
生産ラインで完成したEVセダン「ET7」(写真:NIO)

 ET7は「NIOオートノマスドライビング(NAD)」と呼ぶ自動運転技術を搭載する高級モデルで、価格は43万6000~51万3000元(約850万~1000万円)。航続距離は、75キロワット時(kWh)の電池を搭載するモデルが530キロメートル(km)、100kWh電池のモデルが675kmに達する。驚くべきは150kWhモデルが「固体電池」を搭載することだ。

ニューヨーク証券取引所に上場

 日本ではあまりなじみのないNIOは「中国のテスラ」とも言われる新興メーカーだ。自動車情報サイト「易車」の創業者である李斌氏(現在はNIOの最高経営責任者=CEO)が14年に上海でNEXT EVを設立。17年にNIOに社名変更し、18年には米ニューヨーク証券取引所(NYSE)で上場した。

NIOの親会社である蔚来集団は22年3月に香港取引所に重複上場した(写真:NIO)
NIOの親会社である蔚来集団は22年3月に香港取引所に重複上場した(写真:NIO)

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