
ロシアによるウクライナへの侵攻により、ロシアへの依存度が高いパラジウムやニッケルといった自動車部品や車載電池の生産に欠かせないレアメタルの調達懸念が強まっている。昨年から原材料価格の上昇や車載半導体の不足が各国の自動車関連メーカーを苦しめてきたが、レアメタルの価格高騰が自動車生産にさらなるマイナスの影響を及ぼしそうだ。もちろん中国の自動車産業も例外ではない。順調に拡大してきた自動車輸出台数が減少に転じる恐れもある。
膨大な国内需要を生かして急成長した中国の自動車メーカーは国内新車市場の競争激化に直面し、海外で事業拡大を図ろうとしてきた。中国の自動車輸出先として第3位だったのがロシアだ。中国からロシアとウクライナの2カ国に向けた輸出台数は2021年に13万3000台、輸出額は21億1000万ドルに達していた。その輸出が今回のウクライナ危機で風前の灯となっている。

かつて中国製自動車の最大輸出先だったイランへの輸出台数は、米国による経済制裁を経て急減した。17年に36万台だったが、21年は2000台に落ち込んでいる。電気自動車(EV)を中心とする新エネルギー車(NEV)の海外販売を強化してきた中国の自動車メーカー各社は、ロシアのウクライナ侵攻を機に、NEVの旺盛な需要が見込まれる東南アジアや欧州の市場にさらに力を入れていくことになりそうだ。
21年に輸出台数が前年比約2倍に
中国政府は以前から企業の海外進出を促してきたが、これまでに強い国際競争力を構築できた製品は液晶テレビやパソコン、スマホなど家電・IT(情報技術)分野がほとんど。製造業の代表格である自動車は輸出台数がなかなか伸びず、17年から21年にかけて100万台規模で推移していた。それが、21年に前年比2倍程度となる214万台を記録。初めて200万台を突破した。
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この記事はシリーズ「湯進の「中国自動車最前線」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
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