ポッドキャストなどをめぐるGAFAや海外IT大手の動き、コロナ禍での生活変化、クラブハウスの日本上陸など、数々の追い風が吹いており、ボイステック革命の環境は整いつつある。まさに役者はそろったというところだ。

 おそらく、こうしたパラダイムシフト(認識や価値観の劇的な変化)を伴う革命は、渦中にいるとその実感がなく、あとで振り返ってやっと「あれは革命だったのだ」とわかるものなのだろう。

 2010年代のスマホ革命もそうだったはず。最初は一握りの人にしか見えておらず、多くの人はその変化を過小評価してしまう。かく言う私も、最初にアップルがiPhoneを発売したときには、それがのちに、人びとの生活を大きく変えてしまうほどのものだとは、想像もできなかった。

 予兆はたくさん起きているが、これがボイステック革命になるという「証拠」はもちろん誰もつかんではいない。パラダイムシフトとは、そういうものだ。だからこそ、今、もっと多くの人に、ボイステックに目を向け、これから来る革命の嵐を一緒に体感してほしいと思っている。

 インターネット、デジタル、スマホと続いた革命に乗り遅れ、世界の表舞台から日本企業がごっそり消えてしまった過去の二の舞いにならないためにも。

「まるっきり新しい市場」が生まれる

 ここからは、新しく生まれるボイステック市場が、どんな市場になるのかについて話してみたい。今後大きく成長し、さまざまなプレーヤーが参加するだろうという確信は持っているが、芽を出したばかりの新しい市場なので、市場規模予測などの数値については、シンクタンクや調査会社などにお任せしたい。私はそれよりも、ボイステック市場の性質や、我々のようなプレーヤーがどのようにこの市場を捉えるべきか、といった視点についての議論をしたいと思う。

 まず強調したいのが、ボイステック市場は、「まるっきり新しい市場」だということだ。ごく当たり前のことを言っているように聞こえるかもしれないが、パラダイムシフトが起こるときに、ここを真に理解していないがために失敗してしまった企業は、これまでも多かった。今まで自分たちが目にしてきた、既存の市場の延長線上に考えてしまい、頭の切り替えができないままで新市場に参入してしまうからだ。

 振り返ると、スマホが登場したときもそうだった。パソコンの世界観の延長線上で考えることから逃れられず、パソコン画面の中での勝ち筋をスマホでも踏襲しようとしてしまった。

 もう少し詳しく見ていこう。1979年に発売されたソニーのウォークマンと、その後に続いたヘッドホン付きのポータブルオーディオプレーヤーの市場、または、2007年に登場したアップルのiPhoneと、それ以降に普及したスマホの市場などをイメージしてもらいたい。

 これまで存在しなかった、まったく新しいジャンルの商品が投入され、初めは商品も未成熟で評価も低いが、一度評価されると、最初は急速に販売台数が伸びる。新しい市場の誕生だ。この頃の成長率は高く、猛烈な勢いで拡大する。市場に投入される商品の、純粋な「商品力」がエンジンだ。そしてその商品の持つ力を広く知ってもらうためのPRも、商品力を多くの人に訴求する大きな力となり、その勢いを後押しする。

 ところがある時点から、その伸び率は以前よりもなだらかになる。成長を引っ張るのは、投入される商品そのものの力というよりも、マーケティングの力になってくる。商品の本質的な良さで売るのではなく、パッケージやネーミング、付加機能など、もはや微修正とも言えるポイントが勝負どころとなる。

 そうするうちに、また新たな、強い商品力を持った商品(または商品カテゴリー)が生まれて市場を形成する。そしてあっという間に既存市場を追い抜き、既存の商品や商品カテゴリーを「過去のもの」にしてしまうのだ。

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