新卒求人を取りやめた企業が出始めた2020年。企業や業界ごとに傾向変化があるが、一番の新卒市場の変化は新卒の雄「リクルート」が一人負けしてしまったことだろう。新卒採用の開拓者リクルートがなぜ一人負けしてしまったのか。
大手企業の求人変化を評価する
コロナ禍で「就職氷河期」がやってくるという論調のニュースや報道がメディアをにぎわせたが実態は異なる。リクルートワークス研究所が発表した「大卒求人倍率調査(2022年卒)」によると、大卒求人倍率は1.50倍(前年比マイナス0.03ポイント)だった。リーマン・ショック後や就職氷河期、超氷河期の変化と比較すると微減と言えるだろう。その内訳を見ると景況感の不透明さにより、中小・中堅企業で採用予定数が減少。飲食店・宿泊業、旅行・航空業界では採用予定数が減少した企業が多い。対して小売業や運輸業、情報通信業界などは通常よりも求人量を増やしている。

そんな求人規模の縮小の裏側で、新卒採用支援の代表企業であるリクルートが一人負け状態だ。新卒採用における主要就職サイト(リクナビ、マイナビ、キャリタス)について、22年卒向けサイトオープン時点(21年3月1日時点)での掲載企業数を確認するとリクナビ(リクルート)は1万830社。前年比で44%だ。マイナビ(マイナビ)2万4215社、キャリタス(ディスコ)は1万6330社と比較すると業界最大手だったリクルートは、もはや3番手だ。

追う立場だったマイナビは、ダブルスコアを付けてリクルートを突き放している。これまで3位だったキャリタスにまで負けている現状は、これまででは考えられなかった結果だ。
こうしたリクルートの惨状とも言える残念な状況は、コロナショックだけが要因ではない。
なぜ新卒市場で活躍できなくなってしまったのか
要因は色々あるが、まず大きな問題としてあげられるのは、19年に問題発覚した「内定辞退予測問題」だ。「リクナビDMPフォロー」と呼ばれるサービスが過去の行動履歴を分析し、学生の内定辞退率を予測するというもの。会員学生の十分な同意を得ないまま個人情報を販売していた。本サービスは企業・学生・学校などから批判を受け、サービスを急きょ廃止した。
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