ただし、こうしたユニークな人事施策を立ち上げるだけでは、採用までつながらない。メディアにしっかりと施策を売り込み、社外に広く伝えることだ。それが採用活動時に大きなアドバンテージとなる。
先ほどのピーチでいえば、23年卒の採用を再開。採用人数は客室乗務員が50人ほどだが、メディアによっては日本航空(JAL)や親会社のANAホールディングス(HD)よりも大きく報じられていた。おそらく「旅くじ」の拡散効果だろう。
年齢や卒業年を問わない採用を強化
新卒採用を再開する企業に提案したい打開策のもう1つは、年齢や卒業年を問わない採用を強化することだ。
新卒採用において、採用対象者を卒業見込み者と既卒3年目以内とする企業が多い。その採用対象者に、第二新卒者といった人材を追加することで、広く優秀な人材にアプローチできる。また、採用休止で崩れた年齢構成のバランスを整えることも可能だろう。
志望業界を1つに絞らない就活生がいる一方で、「どうしてもこの業界で働きたい」と熱望する人もいる。21年卒や22年卒にもそうした学生がいたはずだが、採用中止になったために、泣く泣く諦めた層が一定数いると思われる。
新卒求人サイトに情報を出すだけでは、そうした人材には出会えない。企業広報で、第二新卒や業界未経験者の枠があり、かつ広く採用することを発信し、そうした潜在的志望者の気持ちを喚起させることが大切だ。
加えて、可能であれば、高校生向けのインターンの実施や会社見学会などを開催するのもいい。大々的な就活セミナーではなく、小さなグループ単位でフォローアップをしていく。1年では難しくても、継続すれば翌年以降に実を結ぶこともある。
今後、若者人口の減少は明白で、優れた人材の奪い合いになるのは必至だ。そんなときこそライバル会社の模倣ではなく、業界がやらないことに活路を見いだすのが新卒採用戦線を勝ち抜く秘訣ではないだろうか。
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