情報発信を強化する

 新卒採用を休止した企業が陥る深く暗い落とし穴(前編)では、採用をやめたことによる弊害について解説した。では新卒採用を再開する企業はどんな手を打てばいいのか。それには情報発信を強化することだ。

 情報発信は、採用活動のための採用広報と呼ばれるものだけではなく、企業広報自体も含む。

 採用活動に取り組むに当たり重要なのは、自社ホームページ内の採用情報や就職サイト、合同企業説明会、ブログ、SNS(交流サイト)などから情報を積極的に発信し、就活生に「エントリー」してもらうことだ。

 コロナ禍で採用を休止した業界や企業、とりわけ旅行・宿泊、飲食業界などは、ここ数年のネガティブな印象を払拭すべく、現状を知ってもらうことから始めよう。

 現段階では、業績が持ち直している企業は少ないかもしれないが、困難を打開しようとする前向きな姿勢は伝えるべきだ。ではどんな情報を発信するといいのだろうか。

「旅くじ」のカプセル型自動販売機
「旅くじ」のカプセル型自動販売機

 大手格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーション(大阪府田尻町。以下、ピーチ)の例を紹介しよう。ピーチでは21年8月から、カプセル型自動販売機で「旅くじ」を販売。1回5000円で、カプセルには指定された行き先の航空券が購入できるピーチポイント5000円以上の交換コードが入っている。

 ポイントは自分で行き先を選べないこと。「旅くじ」をきっかけに思いもよらなかった場所に出向き、ワクワクするような体験を楽しむという趣向だ。

 これが若い世代を中心に話題を呼び、2021年12月時点で累計1万個を販売。メディアにたびたび取り上げられたほか、カプセルの開封動画がSNSで拡散された。

 これらの情報を目にした就活生は「この企業なら面白いことができそう」と感じ、企業のファンになり、入社したいと思う気持ちが湧く。こうしたサービスを通じたコミュニケーションが、企業広報という武器なのだ。

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